JAPAN GEOGRAPHIC

Monthly Web Magazine Feb.2021


■ 星田の北斗七星降臨伝説  野崎順次


大阪府交野市に星田というところがある。地名の由来は、水田の耕作ができないので、「乾し田」と呼ばれていた。その後、天の川や北斗七星の降臨など星にまつわる伝説から美しい星の田と改称された。

北斗七星の話はこうである。平安前期、弘法大師が交野に来られた折、獅子窟寺山の吉祥院にある獅子の岩屋に入って、仏眼仏母尊の秘法を唱えられると、七曜の星(すなわち北斗七星)が三ヶ所に分かれて地上に降りた。それぞれ妙見山上の星田妙見宮(小松神社)、星田乾にある光林寺境内、星田傍示川沿いの星ノ森之宮である。これらの石は神仏が姿をかえてあらわれた影向石(ようごうせき)として、その後信仰されるようになった。そして、この三ヶ所を結ぶと正三角形になり、一辺が約八丁(900m)なので、「八丁三所」と呼ばれている。
  


まず星田妙見宮に来たが、同時に隕石が落ちてきたという。現地の説明板に「わが国の隕石落下記録上、二番目に古いとされる弘仁七年(816)の星の降臨によって、この山の大部分が吹き飛ばされ、馬蹄形になっています。山を登りながら、当時の衝撃のすさまじさ、宇宙の神秘を感じてください。」とある。平坦な境内の突き当りに登龍の滝という枯滝があり、その滝壺が隕石落下地点らしい。その背後は確かにえぐり取られたようなきつい傾斜で山頂の妙見宮に至る階段がジグザグ状に設置されている。
   


最高部の星田妙見宮の背後に磐座があり、二つの石に注連縄が張られ織女石(たなばたせき)と呼ばれている。
    

次に光林寺に来た。山号が降星山というのがすごい。本堂の横に注連縄を張られた石がある。
石の囲いがあり、大切にされている。
     


最後は星ノ森之宮である。道路から狭い道を入ると、小さな森があり、塚の上に石が一つ安置されている。この森を霊場として整備されたとき、中央に石塚を築き御神体としてあがめられていた5個の石のうち、小さい石4個を塚の中に納め、大きい石を上に置いて神の磐座として奉ったそうだ。注連縄がないと寂しい気がした。
     


参考資料
交野市公式ウェブサイト
星田妙見宮パンフレット
須田郡司「日本の聖なる石を訪ねて」2011.10.10. 祥伝社


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