JAPAN GEOGRAPHIC

Monthly Web Magazine Feb.2021


■ 高知のジオサイトとプレートテクトニクス 足摺、竜串、見残し、室戸岬など 瀧山幸伸

 

プレートの沈み込みにより特異な地形ができあがる。紀伊半島とともに高知の洋岸には多くのジオサイトがある。土佐清水市の足摺岬と竜串と見残し、室戸市の室戸岬などのジオサイトは、景観がすばらしいのはもちろんのこと、地理的にも訪問のたびに新しい発見がある。 地理地学を学べばなにげない景観を百倍楽しめる。逆に言えば知らない人は百分の一しか楽しめていない。目的地からはずしたり、現地で記念撮影をして数分で去っていくのはもったいない。

 

竜串のキーワードは「カエル」と「クジラ」と「欄間」。それぞれの特徴が現れた景観に圧倒される。

高知県土佐清水市 竜串

Tatsukushi,Tosashimizu city,Kochi

 

 

 

 

 


今回はドローンで足摺岬の海側から眺めることができた。海蝕洞穴とともに地理的に興味深い。

高知県土佐清水市 足摺岬

Ashizuri misaki,Tosashimizu city,Kochi

 

 

 

 

 


見残しはあの空海でさえも見残した土地との言い伝えの通り、遊覧船を利用しない限り現地への到達性は良くないが、ぜひとも歩いて行きたい。足摺よりも竜串よりも美しい海と岩が待っている。地理地学的見地からもぜひおすすめしたいが、単に景観美としてみても全国の海岸の中でも山陰海岸、三陸海岸と合わせ三大美形の地と言える。

高知県土佐清水市 見残し

Minokoshi,Tosashimizu city,Kochi

 


叶岬は、捨てネコの楽園となっている神社下の駐車場から歩き始めて岬先端の崖を降りるまでのスリルがたまらない。足を滑らせればあの世に直行だ・

高知県土佐清水市  叶岬

Kanaezaki,Tosashimizu city,Kochi


叶岬に負けず劣らずあの世に直結しそうな絶海は観音岩周辺だ。その先にはサンゴの海としてダイバーの天国ともいえ柏島がある。この付近の海の美しさは息をのむばかりだ。

高知県 大月町

Otsuki Town,Kochi


室戸岬はいち早くユネスコの世界ジオパークに選定されているが、他と比べて特に優れているというほどでもない。ただし、夫婦岩や牛や烏帽子などに見立てた岩や空海伝説がらみでロマンチックだ。プレートテクトニクスを肌で感じるにはベストの場所と言える。

高知県室戸市 室戸岬

Muroto misaki,Muroto city,Kochi

 

 

 

 

 

高知県室戸市 夫婦岩

Meotoiwa,Muroto city,Kochi

 

 

 

 

 

室戸から少し北に行くと波模様の化石が露出している。和歌山にもあるが、ここははっきりとわかり規模も大きい。

徳島県海陽町 宍喰浦の化石漣痕

Shishikui, Kaiyo town,Tokushima

 

 

 

 

 

 

須崎市の横浪三里海岸は風光明媚な海岸だ。五色浜にあるメランジュは、メランジェ/メレンゲ(混ぜた状態)の語源のとおり、岩石がぐちゃぐちゃになった状態の地質だ。四万十帯とよばれる海洋プレートが日本列島にやってきた際に日本列島に付け加わった地層(付加体)が標識的に分布する。わが国のような弧状列島は海洋プレートとそれに伴った地層の付加により成長してきたことが分かってきたが、横浪半島はこうしたプレートテクトニクスの学説が提起・証明された場所として世界的に重要だ。

高知県土佐市、須崎市 横浪三里海岸

Yokonamisanri Coast,Tosa city,Susaki city,Kochi

 

 

 All rights reserved 無断転用禁止 登録ユーザ募集中