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■ 看板考 No.96 「億の細道」  柚原君子



所在地:東京都中央区有楽町 銀座チャンスセンター

大阪には「億の近道」というネーミングもあるそうですが、東京有楽町のチャンスセンターは「億の細道」!

億がもらえるらしい細道(近道)ですが、10キログラムの米俵から、たった一粒の当たり米を拾うようなものと揶揄される宝くじ。億の細道に並んだとて甚だ心細い道中であるとは思うが、人が立ち止まるにたり得るネーミングとしては、うん(運)!座布団1枚!といいたい良いネーミングです。

私も立ち止まってしばし見とれました。けれど、もし私がネーミング委員会(有るかどうか知りませんが)に在籍していたら、こう付け加えます。

「億の細道」(待つ御場所)

そして、美観をそこねるヒラヒラの旗ではなく、江戸時代の様な木札にします。
町中の至る所に宝くじ売り場があって、あの方々の給料もぜんぶ宝くじの売り上げ金でまかなっているのだと考えれば、当たり金に回すのはほんのわずかで、下手をすれば売れ残った中に当たり券があって、××銀行は丸儲け!と意地悪目線の私はどんなに派手に「ここで出ました三億円!」と書いてあっても、横目で見て通るだけ。
奥の細道は実際に歩いてみると美しい景色が連なっていると思う。確かにおもしろいネーミングではあるが、松尾芭蕉さんはあまり良い気分ではないと思う。

 

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