Monthly Web Magazine July 2021
■ ちょっとした違和感 瀧山幸伸
今に始まったことではないが、明治以降、日本と外国との文化の違いで評価がこうも違うのかという事例として、鳥居の連続いわゆる千本鳥居がある。
外国からの観光客は鳥居の本質を理解するわけもなく、ただ単に見慣れない形状と色のアーティスティックなモニュメントが連続する姿を愛でる。
伏見稲荷大社はその代表例で、テーマパークのようにふざける観光客が真摯な参拝者の顰蹙を買っているのを目にしたことがあった。残念ながら最近では日本の若者も外国人と同じ価値観を持っているようで、鳥居くぐりが遊び目的となっているようで、ちょっとした違和感を感じる。
山口県長門市の元乃隅神社も外国人の評価で人気が出た。この神社は訪問の度に娯楽施設化が進展しているように感じられる。
近いうちに日本中に神社型テーマパークが複数現れるのではないかと憂慮しているのだが、よくよく考えると憂慮する必要もなさそうだ。寺社仏閣にとどまらず世界中の大規模な宗教施設の歴史をひもとけば、その宗教の教義を具現化し、より多くの信者と資金を獲得するためにはテーマパーク性は必要不可欠な要素である。
そう考えれば違和感も嘆きも危惧も無用なことかもしれない。
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