通信員HowTo
動画撮影
基本方針
教育素材としての目的に沿っていれば良く、芸術性は問いませんが、最高画質で撮影してください。
ビデオにBGMやナレーションを加えることは特に必要なく、撮影したままのビデオファイルと別途専用機で録音した音声ファイルを揃えれば十分です。
静止画のシーンに少しでも動きがあれば動画も撮影しておきましょう。風、水、動物などの動きを伝える目的のほかに臨場音を追加する目的もあります。逆に、スライダー(パララックス)ショットも被写体を印象的にします。近景に木や枠など動きがわかるような見切りを置き、体をゆっくりと少しだけ動かして遠景の動かない建物などを撮影する手法です。
後日必要に応じて編集することは簡単ですから、素材を揃えることを優先します。
撮影テクニック
基本は静止画撮影と同時に行う固定撮影(スチルショット)」です。
運動会のように カメラを振り回した映像は最悪です。パン(横移動)、チルト(縦移動)、ズームは原則としてせず、カットの連続で構成します。動かせば動かすほど映像の品質も作品としての品質も下がります。やむを得ない場合だけ最小限にゆっくりと。
パンのかわりに、左、正面、右の3ショットを、チルトの代わりに正面、下向きまたは上向きの2ショットを、ズームの代わりに、遠景(広角)、中景(標準)、アップ(望遠)の3ショットを静止させて撮影したほうがはるかに見やすく、臨場感があります。
視聴に耐えうる品質を確保するため、プロと同様に手振れ防止装置(三脚、ジンバル)での撮影を基本としますが、最近の機材はカメラレンズ共に手振れ防止能力が高いので手持ちでもかまいません。多少の揺れは編集ソフトで補正できますが、微振動やクイックパンは画質が悪くなりますので、腋をしめてカメラをやわらかく持ち、可能な限り手も体も固定してください。被写体が動く場合は可能な限りゆっくり動かしてください。
1カット最低でも4秒程度、編集を考慮して少し長めに撮影します。
花の開花、星空などのインターバル撮影から動画の合成(微速度撮影)も興味深いものです。ただし、あまりにも早送りでせわしない映像はやめましょう(例:太陽、月、雲の極端な早送りなど)
カメラの種類
最近のカメラは性能が良いので高画質の動画も撮影できます。ビデオカメラよりも画質は上です。
やむをえない場合はスマホの動画でも不可ではありませんが、明らかに画質の差があります。
レンズの種類
なるべく高性能なレンズを使ってください。明らかに画質の差がありますし、暗所など厳しい環境でノイズの差が出ますし、ボケなどによる芸術的な表現も可能です。
画像サイズと質
最高画質で撮影してください。
・8K(推奨)または4K。やむをえない場合は2K(HD)でも可です。
・フレーム数は30P(毎秒30コマ)。動きが激しい被写体は60Pで。
・HDR撮影(推奨)
基本、HDR(Raw動画またはLog)で撮影します。HDRは美しさが圧倒的に違います。最近のスマホはHDRの撮影と視聴ができます。参考:電気店などで、HDR可能なTVでHDR撮影した映像を体験してください。カメラにHDR機能がない場合は、なるべく低コントラストなニュートラルなどのピクチャースタイルで撮影し、編集で色調整します。
音は映像よりも重要です。映像は情報を伝え、音は感情を伝えます。音が入るだけで臨場感が増します。
ビデオ編集 ソフトと機材
素材としての投稿で十分で、編集は必要ありません。編集と圧縮は画質が悪くなるので推奨しません。撮影したままのビデオファイルをフォルダにまとめて送ってください。
上級者で、作品として編集したい場合、最高画質を追求してください。ビデオ形式、圧縮方式など技術的なノウハウは事務局と相談してください。
編集ソフト:Blackmagic Resolveなど
参考: 瀧山幸伸の動画撮影機材遍歴
・1981年 初めてのビデオカメラ
第一子誕生とともにポータブルビデオカメラ(VHS)を初めて購入した。パナソニックのポータブルマックロード。カメラとビデオデッキが別で、重く使いにくかった。
その後1984年にSonyの8mmカメラ一体型カセットビデオ(CCD-V8)が出たので購入。以後2003年までは複数メーカーのハンディビデオを個人の記録目的で使っていた。
・ 2003年 Japan Geographicの活動開始
活動開始とともにSDビデオカメラを購入。Victorのハンディタイプで、DVDと同じSD解像度(720X480)
・ 2003年12月 HDへ
解像度を上げるためハイビジョン(HD)カメラ Victor GR-HD1を購入。HDではあるが解像度は720P(1280x720)
・ 2005年 1080iのHDへ
解像度を上げるため1080i方式のハイビジョンカメラ Sony HDR-HC1を購入。 解像度は1080i(ヨコ1440x1.33=1920、タテ1080)
・ 2007年 テープ記録からメモリ記録へ
同じ1080i方式でテープ記録ではなくメモリ記録のCanon HFを購入。テープ走行音が出なくなった。
・ 2008年12月 1台でフルHDと静止画へ
Full HD動画(1920X1080)と静止画が撮影できる一眼レフ Canon 5D Mark2を購入。
・ 2010年1月 4KRaw動画へ
4K解像度でRaw動画が撮影できるRed Oneをレンタル導入。画質は良いが非常に重いうえ撮影準備に時間がかかるなどハンドリングも悪くフィールド撮影に不向きなため2か月で使用停止。
・ 2010年3月 HD Raw動画へ
Canon 5D Mark2に戻る。その後Canon 5D Mark2でRaw動画が撮影できるファームウェア(Magic Lantern)が登場したのでHDのRaw動画を撮影開始。
・ 2014年6月 HD高感度動画へ
暗所に強く高感度のHD動画が撮影できるSony A7Sを購入。しかし実際に撮影してみると宣伝ほどの高感度耐性は無く、Canon 5D Mark2でのRaw動画に再び戻る。
・ 2015年7月 4K動画へ
4K動画が撮影できる Sony A7R2を購入。同時に移動撮影に適したジンバル DJI Roninを購入。
・ 2017年10月 4KHDR動画へ
Sony A7R2まではSDR画質。SDRではテレビ放送の画質と同じで、目で見たままの鮮やかな映像が撮影できないため、4KのHDR動画が撮影できる Panasonic GH5を購入。サブとしてPanasonic G9を2台とGX72を1台。
・ 2019年9月 6K Raw(HDR)動画へ
6K Raw動画(HDR)が撮影できるBlackmagic 6Kを購入。AFが悪い。この機材に限らず過去ずっと動画のAFは全く不満だったが特に不満。IS(スタビライザー)も無い。バッテリーの持ちも悪い。
・ 2020年7月 8K Raw(HDR)動画へ
8K Raw動画(HDR)が撮影できるCanon R5を購入。2台体制で撮影を始める。Rawは色が圧倒的に良いがデータ量が大きいのが難点。
・2023年10月 歩き撮影専用にDJI Pocket3を導入
2015年以降、カメラをジンバルに載せて静止画と動画を撮影していましたが、歩き撮影専用機でようやく4K HDRが撮影できる機材が登場したので、歩き撮影はDJI Pocket3を使用することにしました。HDRは必須なので決断しました。8Kではなく4Kですが、歩き動画はそれほど解像度が要求されないので4K60Pで耐えられると判断しました。
現在の悩みは、録音とほぼ同様に、感度とダイナミックレンジです。
・感度(暗所の撮影性能)がもっと欲しい。
例えばホタルが飛翔するシーンや暗い場所での動物撮影などは動画ではまだまだ難しいです。
・ダイナミックレンジ(明暗差のあるシーンの撮影能力)がもっと欲しい。
HDRで撮影できるようになり、かなり改善しましたが、時々明るい部分が飛んだり暗い部分にノイズが残る場合があります。
・AF性能が足りない。
最近のカメラは静止画は少し改善していますが動画のAFはまだまだ不満です。
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