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埼玉県秩父市 秩父市街 

Chichibu downtown,Chichibu city,saitama

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秩父神社と祭り Chichibujinja and Matsuri


Sep.19, 2015 松田浩志

 

慈眼寺

Jigenji, Higashi-machi, Chichibu-city, Saitama

埼玉県秩父市東町26-7

                                            

定林寺

Jyoeinji, Sakuragi-machi, Chichibu-city, Saitama

埼玉県秩父市桜木町21-3

                

秩父の街並み

                                  

秩父美術館

Chichibu-museum, Nagata-machi, Chichibu-city, Saitama

埼玉県秩父市永田町7?22

                                          


秩父の登録文化財と街並

July 2009 撮影/文:高橋久美子

旧埼玉県繊維試験場秩父支場 本館 工場棟 倉庫(ちちぶ銘仙館)

                     

秩父の街並

                                         

                            


Mar.2009撮影/文:瀧山幸伸 source movie

中心市街地がおしゃれに蘇る!

かつて秩父銘仙で知られた織物の里、秩父。中心街は大変賑わっていた。

時代の変化に耐えられず数年前には廃墟同然になっていた街が最近蘇ってきた。

そのきっかけと手法は、、、

秩父と銘仙

今は昔、「秩父銘仙」は、崇神天皇の時代に知々夫彦命が住民に養蚕と機織の技術を伝えたことが起源と言われている。

実態は帰化人による織物技術集団だとする説がある。

彼らは当時のハイテク集団で、酒造、織物など、日本の産業文化の指導を担った。

その伝統が戦後の高度成長期まで脈々と当地の織物産業を支えていた。

秩父神社の西門(黒門)の正面にある黒門通りには、秩父近郷の織物工場の出張所が建ち並び、買継商と呼ばれる仲買い商店に納める製品置場となっていた。

買継商通りは黒門通りと平行に走る通りで、織物の売買で年中繁盛していた。

店の裏側は工場出張所につながっており、商品が売れるたびにすぐ在庫補充ができる合理的な仕組みだった。

NPOと登録文化財推進

織物産業の環境変化とともに秩父や足利の銘仙は全く火が消えてしまった。

独特な建築様式で形成されたこの二つの街並も廃墟寸前となり人々の記憶からも忘れられていたのだが、それを蘇らせるにあたり地域NPOの活動が大いに寄与した。

「NPO法人ちちぶまちづくり工房」はその中の一つで、平成12年に市の呼びかけで集まった街おこしに関心のある市民40人で結成された任意団体を起源とする。

国や県の助成で、小冊子「秩父まちなか散策ハンドブック」の作成、「秩父周遊ツアールート」の策定、「日本風景街道」秩父路ルネッサンスの構築、「秩父道の探検隊」事業などを実施してきた。

その一環として、中心市街地に残る建築物を国の登録文化財にする活動を行っている。

登録文化財は、築50年以上で、歴史的景観への寄与、デザインの特徴、再現の難しさ、のいずれかに該当していれば比較的容易に登録可能で、重要文化財とは異なり改装と用途の自由度が高いので、全国各地で動態保存、特に店舗としての活用が図られている。

中心街の登録文化財

既に国の登録文化財となっている旧秩父銘仙出張所一、二、三は、木造二階建て切妻平入り、二戸一棟の出桁造りの建物で、登録理由に「国土の歴史的景観に寄与している」ことが挙げられている。

古くて汚いとしか認識されていなかった建物群が「文化財の価値を有する貴重な建物」としてお墨付きを得、おしゃれなカフェや店舗、多目的スペースとして蘇った。

それに歩調を合わせるように古い街並に調和するデザインの洋菓子店も出店した。

近い将来レトロで楽しい街並ができあがりそうな予感がする。

近くにある旧埼玉県繊維試験場秩父支場はフランク・ロイド・ライト風の大谷石外壁が素晴らしく、「ちちぶ銘仙館」として活用されているし、銘仙問屋の旧柿原商店、旧新井商店も往時の姿をよく残し中心市街地活性化に寄与している。

銘仙をテーマに秩父市街を散歩するのも楽しい。

もちろん銘仙だけが秩父のまちおこし資源ではない。

市内には、武甲酒造の酒蔵が登録文化財となって現役稼働中だ。

重要文化財は規制が厳しいので登録文化財を選んだとのこと。

番場町の交差点には、小池煙草店などの4つの登録文化財が立ち並ぶ。

旧秩父駅舎と御花畑駅舎も登録文化財だが、旧秩父駅舎は郊外の霊園に移築されており、見るからに寂しそうだ。

最近追加される文化財の傾向として、単発ではなく広域複合の文化財を一括で取り扱う傾向がある。

糸魚川から松本への塩の道や芭蕉ゆかりの奥州中山越えなどの古街道が文化財に指定されているのは世界遺産の考え方の影響もあろう。

2008年に鳥取県の若桜鉄道施設一式が文化財に登録されたが、秩父鉄道の全施設が一括で登録される日も遠くない。

かわいらしい姿の旧秩父駅舎も市街地に呼び戻し有効活用する必要がありそうだ。

市街地再生の行動科学的アプローチ

ことほどさように、近隣住民相手だけでは中心市街地の未来は厳しい。

その再生には域外からの集客も必要で、特に中高年層を集客することが重要だ。

彼らは時間の融通が利き歴史文化への協調性もリピート度も高い。

そのためには、認知されることはもちろん、訪問してみたいという動機を高めることが肝要だ。

バラエティー番組からご当地映画に至るまで、メディアが取り上げる街歩きの話題には、三つの要素、すなわち「物語」と「名所(絵になるシーン)」と「名物(商品や元気な人)」が欠かせない。

その資源は風土すなわち歴史と地理。

これをもとに新しく創造されたり復活された物語と名所名物を点から線や面につなぎ、地元の「語り部」や「踊り部」が集客を図るというプロセスができることが必要だ。

訪問客はその三つの要素をクチコミで周囲に広げる。

行動科学的手法の「正のフィードバックサイクル」ができるかどうかが中心市街地活性化のカギの一つと言えよう。

秩父の人々の遺伝子が点を線(糸)へ、そして面(織物)へと付加価値増大の方向へ進ませているのかもしれない。

武甲酒造柳田総本店店舗

                                        

園田家住宅 主屋、表門 (秩父神社社家)

       

宮前家住宅主屋、表門

    

黒門通り 秩父銘仙出張所一.二、三

               

買継商通り

             

旧新井商店居宅兼店舗 商品倉庫 倉庫

旧柿原商店店舗及び主屋 土蔵A 土蔵B 土蔵C 石塀

      

番場町 カフェ・パリー、安田屋、小池煙草店、旧大月旅館別館

                 

秩父鉄道御花畑駅

   

松本教室主屋

  

秩父の街並

                   

旧埼玉県繊維試験場秩父支場 本館 工場棟 倉庫(ちちぶ銘仙館)

                

旧秩父駅舎

          



Apr. 2004撮影:瀧山幸伸  source movie

     

買い継ぎ商通り

      

     


 

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