滋賀県大津市 法明院
Homyoin,Otsu city,Shiga
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July.2011 中山辰夫
大津市園城寺町
天台宗
京阪電鉄別所駅から消防署横を山に向って上り、皇子が丘公園の南端にでる。そこに法明院への石段がある。
園城寺の子院で、一番北にある。
承応2年(1653)、義瑞律師(ぎずい)が天台密教戒律の道場として創建し、比叡山麓の安楽律院と並称される。
庭園は書院と茶室時雨亭の東側に広がり、琵琶湖を一望できる景勝地にある。上段が程よく石を配した芝生地、下段に池泉を配する二段式の庭園で雄大な琵琶湖や対岸の三上山を借景としている。
日本美術の保護・振興に貢献し、明治11年に来日した、アーネスト・フェノロサは日本において、この法明院にたびたび滞在し、日本古美術を世界に紹介した。その死後遺言により、法明院に葬られた。
表門
ユニークな石の置き方で趣きあるように感じる石段をのぼる。勾配はさほどきつくない。
途中、左側に小柄な滝があり、勢いよく水が落ちている。
本堂
創建当時、普通の寺院では許されなかった様式であったが、義瑞律師が後水尾天皇や霊元法皇の帰依を得たので、特別に許可が下り、大阪の加島屋7代目により寄進を受け建立された。
本堂には鎌倉中期の阿弥陀如来像が安置される。また、藤原期の不動明王像もある。
庫裏
本堂の右側に位置する。
甍の重なりと往古の鬼瓦
書院
書院は本堂の左側に建つ。
シンプルな門をくぐる
書院は右側に建ち、続いて茶室・時雨亭らしきものが建つ。書院の前面は緑の芝生が敷き詰められている。石碑が見受けられる。
書院には、円山応挙や池大雅によって描かれた障壁画があり、また多数の文書・典籍類を収蔵しています。
法明院庭園
書院前面の緩傾斜地には、琵琶湖を見下ろすように池泉廻遊式の借景庭園が営まれている。
その規模は山内の庭園の中では最大で、山中から発する清水を引いて造った長方形の池を中心に、芝庭が広がっている。
雄大な琵琶湖と三上山の風景を借景にし、庭園は2段に分かれた構造になっている。
上段は美しい芝生、下段は池泉が掘られている。
芝生地は四季折々の自然が楽しめ、大きな景石がほどなく配置されてゆったりとした雰囲気が漂っている。
一方、池は芝生地から石段を9段余り降りたところにあって、書院からは見えないが、熊野川から引いた水が流れ、2つの中島が設けられている。草木が生い茂って現況はよくない。
庭園の池の東側は、展望台として利用されているところで、琵琶湖を眺めるのにもよいところ。往古の素晴しい様子が分かる。
庭園内にあるとされる錦繍楓(きんしゅうかえで)や光輝梅(こうきうめ)は離宮から移植されたと伝えるが分からなかった。
背後の峰は長等山の続きで、円珍が唐から持ち帰った土を埋めたので唐土山(とうどざん)という。
法明院は明治の日本美術の研究・収集家であるフェノロサやビロゲーの墓があることで有名。
彼らはこの寺の風光を好んだばかりでなく、当時の住僧桜井敬徳律師について受戒している。
フェノロサの墓
法明院の庭園を通り抜けた奥の山麓にあります。
フェノロサ(1853-1908)は明治時代にアメリカの御雇外国人教師として来日して東京大学で哲学などを教えるかたわら日本美術の真価をアメリカ・ヨーロッパに紹介し、その振興に務めた日本美術界の恩人といわれる人物。
彼は、法明院からの景勝をこよなく愛し、「どうしても琵琶湖の見えるこの土地で死にたい」という生前の遺言を残していた。
フェノロサは、ロンドンで客死し、その遺言どおり、法明院のこの地に墓が立てられ、同院には生前愛用した天体望遠鏡・地球儀・テーブルなどが保存されている。
なお、フェノロサの墓の隣には、親友のビゲロー博士の墓もある。
帰路は東海自然道に従って帰る。
コースの案内に従えば、新羅三郎の墓、新羅善神堂、若鷺の碑に立ち寄れる。
新羅三郎の墓
玉垣に囲まれた立派な墓である。
新羅三郎義光の父源頼義は、早くから園城寺に帰依しており、三男義光を園城寺鎮守神たる新羅明神で元服させ、末子快誉を園城寺僧としている。長男義家は八幡太郎とよばれるごとく石清水八幡宮で、次男義綱は賀茂次郎と称するように賀茂神社で元服させており、新羅明神も当時はこの両神社と並ぶほどの神威をほこっていた。
義光は関東に土着して豪族となった。
大津市園城寺町
弘文天皇御陵の横にある鳥居をくぐって少し行くと、道が右におれる。石段を上った広場の奥に新羅明神を祀る新羅善神堂がある。
貞和年間(1345〜50)に、足利尊氏が寄進したという建物で、園城寺の塔中では最古のもの。
生憎改修工事中であった。【平成23年6月末〜11月末日】
弘文天皇御稜
新羅善神社鳥居の前にある。
若鷲の碑
大津歴史博物館
オンドル遺構
車石
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