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12月25日(日曜日)
クリスマス。
朝5時過ぎから目が覚める。
天草四郎、原城、原爆の長崎、出津、そして平戸、古今東西、歴史と宗教、個人の平和と正義の本質、地球環境、いろいろ考えると眠れない。
再びザビエル記念聖堂へ。
三日月が真上に。
クリームチーズケーキのように美しい。
ザビエル聖堂から見る平戸の景色、韓国映画の 「猟奇的な彼女」を思い出した。
韓流の映画、ドラマは好きだ。
手紙の朗読、心が揺り動かされる。
日本映画の「ラブレター」も良かったけれど、韓国のほうが 上だと思う。
韓国にはキリスト教徒が多いからだろうか、純粋な気持ちが大好きだ。純愛も悪くない。
冬のソナタのユジンは、髪型がかわいい。
自分も「平戸情話」を創作してみた。 Japan-geographicはフィクションを書くにはふさわしくないが、個人的には、リタイア後、地域それぞれを題材にしたラブロマンスを作ってみたい。
寅さん、釣りバカ、火曜サスペンス、司馬遼太郎、土門拳、そして五木寛之の百寺巡礼。
それぞれ持ち味があり、それらとは違ったトーンで創作してみたいものだ。
これは、フィクション。
読む人が自分に都合の良いように解釈して、主人公になれば楽しいかも。
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マグダラのマリアへ
クリスマスおめでとう。
この手紙が最後になるかもしれないと思って書いています。
日記にも書いた通り、遠藤周作も取上げた隠れキリシタンの里、
素晴らしい所です。
ドロ神父は、大浦からこの地に落ち着いたとのこと。
大浦天主堂と黒崎教会のマリア様は、君にそっくり、清らかで美しい姿。
じっと見つめていました。
出津教会では「神共に居まして」の曲が無人のお御堂に響き渡っていました。
一人遠い地に来て、改めて君にめぐりあえたことに幸せを感じています。
神様が与えてくださった世界一の幸せ、感謝してもしつくせません。
次回は君と訪れたくて、有田を終わってから逆戻りして遠いこの地に来ました。
ミサに参加したくてザビエル聖堂に登って来ましたが、 平戸では夜ミサが行なわれていません。
とても残念です。
幸橋のたもとで寂しいイブを過ごしました。
5時ごろから目が覚めて、君のことで胸がいっぱい。
再びザビエル記念聖堂の前にいます。
まだ真っ暗ですが、イルミネーションが素敵で、星のイルミネーションの近くに
三日月が輝いています。
これから礼拝を済ませて、二人で歩くだろう平戸の道を調べてきます。
今年はいろいろありましたね。
来年こそ、君と二人でのんびりと時間を過ごしたい。
都心の文化を楽しむ生活と、郊外や地方で自然と文化に触れ合う生活。
君と二人なら、何でも楽しい。
青い海よりも深く君を愛しています。
もっともっと好きになるでしょう。
来年はもっと君に好かれるように努力します。
電話もメールも、普段のやり取りはギクシャクするけれど、今日は特別な日、素直な気持ちが書けます。
空が明るくなってきました。今日は佐賀から熊本へ。
君との思い出があるから、そして今後の思い出を作れるから、
今日まで生きて来られたのでしょう。
大好きなマリアへ
2005年12月25日 平戸にて
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さて、ロマンチックなラブレター創作はこれくらいにして、いつものノンフィクションモードに戻ろう。
今日は平戸から再び佐賀へ。
緩やかな坂が協会に続く。脇の石垣が風情がある。
今朝はクリスマスのミサ。教会の鐘が心にしみる。
反対側を見れば、平戸の港と城。柿本人麻呂のこのような心境か。
ひむがしののに かぎろいのたつみえて かへりみすれば つきかたぶきぬ。
天文学的に当たり前だろうと思ってはいけない。
夜明け前の寒さ、凍える手、白い息、日が昇る前の大地の揺らぎ、西空には月の燃えかす。
彼は狩が好きだったのか、、、
これは、数多くこの体験をした者以外には理解できないだろう。
Hirado Holland trding office
長崎よりも平戸のほうが海の交差点としての立地が良い。
最初にこの地に拠点を構えた理由は理解できる。
いかんせん、陸路で考えれば、日本の西の端、辺境の地であり、長崎のほうが便利だ。
Hirado Saiwaibashi
オランダ橋と呼ばれる石造りのアーチ橋。
橋のたもとは市役所で、元のイギリス商館跡。
Kujukushima
鹿町町の長串山展望台へ。
多島海の景観が美しい。
伊勢志摩に似ているが、辺境のこの地、アジアを視野に入れた地独特の明るさがある。
日本本土最西端の地
180度の視界。アメリカ最南端の碑がキーウェストにあった。
ヘミングウェイが愛した陽気な町だ。
未成年でも飲酒できるため、若者が朝まで騒ぐ。ニューオーリーンズのように隠微ではない。
それに比べれば、最西端の町、最南端の町は売り込みが足りない。
それには、皆が知っている物語を作る必用がある。
テレビタレントでは一過性でだめ。小説家と映画監督を無料招待しなさい。
基地の町佐世保を抜けて、佐賀県大町、多久へ。
佐賀県
大町 土井家
Omachi Doike
切妻、妻入りの民家。長野、塩尻地方の棟飾り民家に似ている。
Taku Seibyo
多久氏の学問熱心が結晶した。
孔子を崇拝した和製の廟としては日本最大。
この地に学校を作り、武家以外も教育した。村を見下ろす素晴らしい立地。
当時の教育熱心さに比べ、現在の教育荒廃に危機を感じる。
Taku Kawauchike
くど入り民家。 内部を無料公開しているのは、多久の人々の孔子廟以来の見識の高さか。
道路の拡幅があまりにも無粋。
道路行政と文化行政の連携がまったく取れていない。
Saga Yoga jinja
石鳥居、石橋、楼門、樹齢千年以上のクスノキ、拝殿、本殿、皆古く地味に調和している。
渋い。
Saga castle
青い空、白い漆喰、青銅の鯱、焦げ茶の門。美しい。
さらに、江戸時代の図面を元に御殿の復元がなされた。
県立の歴史資料館となっているが、入場料方式ではなく、寄付方式だ。
所詮入場料収入など知れている。良い方式だ。
さらにびっくりしたのは、8時まで開館していること。
学生が楽しそうに学習していた。さらに、撮影も可能。
入場料が高く、撮影厳禁で、4時過ぎには閉館したくてそわそわする公営施設が多い中、日本をリードする佐賀県民の見識に敬意を感じる。
ちなみに、自分は500円寄付した。
塙は、佐賀をからかっているが、佐賀は東芝発祥の地。
鍋島の芸術も高い。文化も技術も政治も先進的だ。
佐賀 大隈重信旧居
Okuma Shigenobu residence
早稲田の大隈は佐賀、慶応の福澤は中津。
九州出身の両雄の精神が今日の私学教育をリードしている。
日が暮れたので、古湯に宿を取る。
Furuyu Ogiya
部屋・施設1つ星、食事2つ星、温泉2つ星
昔訪れたことがある、ぬる湯。保養に最適。単純泉。
今日の宿泊客は自分ひとり。貸切だが、嬉しくない。悲しい。
斎藤茂吉や青木繁が湯治滞在した古い宿。何も無いが落ち着く。
茂吉にちなみ、和歌でも一つ。
せぶりやま こすにこされぬ ゆきならば こよいふるゆに いませよよわがせ
韻を踏んでいて、リズムが良いかな。
「わがせ」と呼んでほしいくらい、旅立ちを引き止めるほど情の厚い湯だ。
もう一つ。
せぶりやま こすにこされぬ ゆきならで ほしのふるゆに しろきはだみゆ
日本語は同音異義語が多く、かけことば遊びが楽しい。空想だが、情景を思い浮かべる。
この宿は川魚がおいしい。
秀逸は、ツガニ。シーズンでおいしい川ガニ。バリバリと、全部食べた。特にカニ味噌がおいしい。
地鶏のたたき、鴨鍋、こんにゃく刺身、炊き合わせ、鮎塩焼き、その他たくさん。
最後に鯉こく。子持ちの鯉。
こんなにもおいしくてさっぱりした鯉こくは、清らかな水で育てているからだそうだ。
23日目の月。明日の朝綺麗な三日月が見えるといいな。