兵庫県西宮市 旧甲子園ホテル
(Kyu Koshien Hotel, Nishinomiya City, Hyogo Pref.)
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Feb.16,2018 中山辰夫
旧甲子園ホテル(現 武庫川女子大学)
兵庫県西宮市戸崎町1−13
フランク・ロイド・ライトは旧帝国ホテルの設計において、京都府宇治の平等院の鳳凰堂が下地にあったとされ、甲子園ホテルもそれを継承したとされる。
宇治平等院鳳凰堂・旧帝国ホテル・旧甲子園ホテル (旧帝国ホテルは1985年に明治村に移築復元されました)
JR甲子園口駅から歩いても僅かである。大きな高級住宅が建ち並ぶ地域の一角にある。
この建物は現在学校法人武庫川学院が所有し教育施設として使用している。もとは高級リゾートホテルであった。客室70、収容150名、最高の社交場であった。日本に数少ないライト式の建築で、国の近代化産業遺産及び登録文化財に指定されている。
帝国ホテルの支配人であった林愛作が「理想のリゾートホテルを」と構想したホテル。
竣功:1930(昭和30)年 設計:帝国ホテルの設計者フランク・ロイド・ライトに師事した愛弟子の遠藤 新 施工:大林組
日本におけるアール・デコ建築の代表とされる帝国ホテルが林とライトとのコンビによる産物で、甲子園ホテルは林と遠藤コンビによる産物で、甲子園ホテルは「西の帝国ホテル」と称され両社はよく対比されてきた (旧帝国ホテル正面玄関部分が明治村に移築復原されている)
ホテルは1930(昭和5)年開業、1947(昭和44)年国が収用、ホテルとしての仕様は14年間、1945(昭和20)年アメリカ軍が接収、1957(昭和32)年国有地化
1965(昭和40)年武庫川女子大学が買い取り、現在に至る。現在の姿はほとんど昔のままである。
建屋の概要
敷地中央に建つ。建築面積2,056㎡、鉄筋コンクリート造、地上4階地下1階建、緑黄色の桟瓦葺。起伏に富んだ空間構成や、テラコッタタイルによる幾何学意匠などライトの建築手法を基調としつつ、和風意匠を加味してまとめてある。関西での本格的ホテルの先駆例といわれる。
中央に玄関、フロント・メインロビーを置き、左右にメインダイニング「東ホール」とバンケットホール(ニシホール)を張りだし、その両翼の上階に、集約された客室群を階段状に配した構成となっている。
「打ち出の小槌」を主題にしたオーナメントや緑釉瓦、西ホールの天井に見られる市松格子などが随所に用いられ、日本伝統の美と壮麗な洋風が調和している。
正面玄関
玄関周辺から見る細部
聳える大木
館内見学
回転ドアー
2004年に起こった森ビルの回転ドアー事故以来使用されていない
配置模型
一階廊下−東西二つのホールをつなぐメインロビー 照明器具をはじめ壁面の装飾にビックリ 水滴をモチーフにしたスリガラス
西ホール(旧バンケットホール 宴会場)
主要部−壁面上部の彫刻に注目
ホール天井
天井にビッシリ釣り下がる天井飾りは水滴をイメージするとか 迫力に圧倒される
天井は和紙を張った格子で市松模様を表現している 市松模様に折りあげた部分が繰り返される複雑なトップライト
その他見るものが多くある
東ホール
もと食堂であったが、現在は大学建築学科の教室棟室として使われ、一人1台の専用の大きな製図机とパソコンが占めている
シェル照明がふっくらとした感じを与えシャンデリアの役目を果たしている 美しいと評判の壁面装飾は見えない
二階 応接室のアートグラスの窓 窓3面ある
室内噴水
宴会場近くの小階段にあって打出の小槌紋様がある「泉水」 竜山石の直方体の塊を掘り埋めて出来ている
丸い底から湧き出て溢れた水が、側面のレリーフを伝って下段の正方形の池に落ちる
あちこちで見られる打出の木槌をモチーフにしたオーナメント 日華石レリーフ
パブリックスペースの1階ロービー
暖炉−暖炉:シンプル、石を彫刻した美術品のような暖炉
バールーム
カラフルなモザイク床タイルが埋まっている。大きさ、色、形さまざま
1930−開業年を表わすタイル
酒場の椅子の復元
大学院建築学専攻の学生たちが平成27年度家具の復元に取組んだ
暖房
階段
上屋三階へ上る
上屋三階−オープンスペース−もと屋上展望台として使われていた。
正面玄関付近
緑釉の屋根瓦と宝珠のような棟飾
瓦葺屋根のてっぺんにある宝塔には打出の小槌が刻まれており、水玉が斜めに瓦を伝って走る様子が表現されている。
二本の塔 (ウイング棟)
左右対称 客室と暖炉設置の小部屋5室がありその排気塔でもある。のためのもので、階段のように見えるのは水平の庇で目につく。
建物の外壁は全体が石(日華石・凝灰岩)のボーダタイルとテラコッタに覆われている
日華石は福井県小松市の産で穏やかな褐色のライムストーン(凝灰岩)。微妙な濃淡が味を添える。
レリーフや彫刻、タイルがふんだんに使用されている
南側にある池泉式回遊庭園と景観−庭園は1990(平成2)年から整備が始まった。当初のものでない。
建屋の異なった面が見える
庭園側正面
外観
外観細部
列柱
1階ロービ−南側の庇を支える褐色(火色)のタイルとレリーフテラコッタ(波模様の浮き彫り状の素焼)装飾物として使われている
壁面彫刻
左右で異なる水滴のモチーフ アールデイコ模様
幾何学的なデザインの浮き彫り
ホテルの正面側外壁はタイルと日華石に覆い尽くされているが、南側外壁も同じで、さらに建屋内部にも及んでいる。重量感ある意匠が一杯あって、飽きさせない。
池周り
建築前、この地域一帯は松林だった。その名残りの松が目に入る。
参考資料≪パンフレット、館を行く、ウイキペデイア、他≫
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