Monthly Web Magazine Jan. 2015
■■■■■ 九州の文化財建築 瀧山幸伸
昨年末、九州で新たに重要文化財に指定された三件の建物を調査してきました。
■ 城下カレイの旧成清家日出別邸(的山荘) 大分県日出町
成清家別邸は、地元の金鉱山で財をなした成清家の接待用の屋敷で、的山荘(てきざんそう)とは、ヤマをあてるという、わかりやすい命名です。
その後は料亭でしたが、現在は日出町に譲渡され、料亭として続いています。
屋敷は金の積み出しに使った日出港を見下ろす高台にあり、日出城にも近く、すぐ近くには日出藩の家老を務めた滝廉太郎の先祖の屋敷跡もあります。
美食家の定番、城下カレイは春が旬ですが、今の時期はフグなどのコース料理を味わうことができます。
建物を楽しみ、美しい庭と、海越しの別府や大分の眺めをゆったりと楽しみ、ランチなら三千円からと、舌も楽しめます。
文化財の動態保存(使いながら残していく)の好例で、幸せな気分になりました。
日出町さん、ありがとう。
■ さだまさし『解夏(げげ)』ゆかりの長崎聖福寺 長崎県長崎市
さだまさしが短編を世に出したのが2002年。2004年には同名で映画化されました。
聖福寺は、映画で、主人公がかくれんぼをしていた寺、解夏の話を聞いた寺として登場します。
境内は静かで癒され、じゃがたらお春の碑もあります。
じゃがたらお春は、民俗学、人文地理学的にも奥が深いです。また別の機会に。
無料で拝観でき、聖福寺さん、ありがとう。
■ 海外のファンが多い入来旧増田家 鹿児島県薩摩川内市
入来は、入来氏清色城の小さな城下町、いわゆる薩摩麓(ふもと)の一つです。(麓については知覧の街並に解説を書いておきました。)
城下町は丸い河原石を組んだ石垣と芸術的な生垣の刈込で覆われ、目に柔らかな街並となっています。
清色城はシラス台地の地形を巧みに使った国史跡の城です。
この地を治めた入来氏が数百年にわたって残した「入来文書」、いわゆる日記は、日本の武家社会を学ぶ資料として、海外からも注目されています。
旧増田家は医師の家系で、往時の姿がそのまま残っています。
海外からの訪問客が多いそうで、しかも無料です。
薩摩川内市さん、ありがとう。