Monthly Web Magazine Sep. 2015
■■■■■ 霊木のちから 瀧山幸伸
ネットが発達したせいか、登山、ハイキングが大衆化し、自然への「怖れ」が薄れて行くように思えます。
さらにパワースポットのブームだそうですが、図書やネットに登場する情報は私には理解できませんし、そのような場所を一般人に教える真意が理解できません。
霊地霊木霊水の定義はありません。自分がそう感じたり、その力で救われたと思えばそれで良いので、とやかくは言いませんが。
私の定義は、非日常の力を感じる場、五感の感性が高まる場で、シンボル性、到達至難性、自然・文化的要素に優れている(騒音、人工景観、車、観光客、店などが排除されている)こと、です。
安易な気持ちで霊地霊木霊水を訪ねてはいけないと思います。そのような地は「いのち」にかかわるからです。
自分の「いのち」にかかわるとは、遭難することです。断崖・滝・熊・マムシなどに自分の命を危険に晒し、実に深刻です。
自分以外の「いのち」にかかわるとは、興味本位で訪問して、場や周囲の動植物などの自然、あるいは祠や石造などの文化財の霊気を求める人々を乱すことです。
霊木に限ってみても、ちからを感じる霊木とは、たとえば以下のようなものですが、全くおすすめしません。
これを見て、軽い気持ちで行ってみようなどと思わないでください。動画で十分臨場感が得られますから。
●ヒノキアスナロ原始林 北海道江差町(天然記念物)
強い霊力が感じられます。この形は雪によるものです。道に迷う(道が無く現地の人も知らない場所)、急傾斜地なので滑落する、ヒグマに遭遇することがあり、危険度最大です。
●鳥海山、獅子ケ鼻湿原のブナ 秋田県にかほ市(天然記念物)
あがりこ大王は名前のとおりですが、吠えるカメや神社の木鼻に見かけるゾウなどが潜んでいます。
●神代杉 山形県戸沢村
幻想の森
怪獣の形相、ビーナスの造形、いろいろな杉が潜んでいます。
黒杉
幻想の森は有名になりつつありますが、黒杉は案内板もありません。頻繁にトラックが通る歩道がない道を歩かざるをえず、交通事故の危険があります。
●コブ杉 秋田県上小阿仁村
雪や病気から戦い抜いて生きてきた力強さを感じます。
●大厳寺高原のブナ 新潟県十日町市
オレに「近づくな!」と、まるで訪問者を怒っているような姿です。
●太田の大トチノキ 石川県白山市(天然記念物)
ここまで大きくなると仙人です。
●石徹白(いとしろ)の大杉 岐阜県郡上市(天然記念物)
石轍白は白山信仰の登拝口、縄文杉が発見されるまでは日本最大でした。
●千光寺の五本杉 岐阜県高山市(天然記念物)
市街から近いのに、このような霊気にあふれています
●白山神社の杉 岐阜県白川町 (天然記念物)
大山の大杉ほか、枝の先で二本の独立した杉が抱き合う夫婦杉など、霊力にあふれた杉巨木がたくさん生きています
●智満寺の十本杉 静岡県島田市(天然記念物)
霊力とはこういうこと、の見本です。
●玉置神社の杉 奈良県十津川村(県天然記念物)
世界遺産紀伊山地の霊場の奥の院的な場ですから、訪問しにくいですが神々しいです。
●立花山の大クス 福岡県福岡市/新宮町(特別天然記念物)
特別天然記念物ならではの原始林です。
●英彦山の鬼杉 福岡県添田町(天然記念物)
修験道の霊地です。
●塚崎のクス 鹿児島県肝付町(天然記念物)
塚崎古墳群の1号円墳を守るクスで、大声で叫んでいるようです。