Monthly Web Magazine Oct. 2015

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■■■■■天然記念物の撮影 大野木康夫

暫定通信員にしていただいた5年前の10月以来、文化財指定の建造物を中心に投稿してきましたが、最近は天然記念物も撮影するようになりました。

9月には滋賀県の天然記念物を数箇所撮影しました。

北花沢のハナノキ(東近江市)

ハナノキは木曽川流域などに自生するカエデ科の樹木で、滋賀県のものは自生の最西端ということで天然記念物に指定されたということです。

  

南花沢のハナノキ(東近江市)

北花沢と並んで、自生の最西端ということで指定されたようです。

落雷や腐食によって主幹が失われていますが、木としては存続している状態です。

  

熊野のヒダリマキガヤ(日野町)

日野町東部の山間の集落に自生しています。

ヒダリマキガヤは天然記念物指定の3本の他、所有者の希望により指定されていないものが1本あります。

偶然、道を尋ねた方が、指定されていない木の所有者の家の方でした。

実の筋が左巻になっているのが珍しいということで指定されたものです。

これも巨木ではなく、熊野神社の境内の杉などの巨木の方が、撮影対象になりやすいと思います。

   

平松のウツクシマツ自生地(湖南市)

ウツクシマツはアカマツの変形で、地表近くで枝が放射状に分かれ、細いブロッコリーのような形です。

湖南市の美松山の南西斜面に群生しています。

園芸栽培品種の多行松(傘松)とは違うということです。

    

了徳寺のオハツキイチョウ(米原市)

醒ヶ井宿の了徳寺にそびえるイチョウの大木ですが、一部の実が葉から生じるということで天然記念物に指定されたものです。

花や実は葉が変形したものということでしょうか。

少し気味が悪い気もしますが。

  

ここまでは天然記念物指定の樹木で、今までも撮影対象としていたものですが、別のものも撮影してみました。

別所高師小僧(日野町)

天然記念物の指定基準は「岩石、鉱物及び化石の産出状態」、「生物の働きによる地質現象」ということで、地学の領域に属するものです。

「高師小僧」とは、アシなどの湿地の植物の根や枝の周囲に、地中の酸化鉄が固着し、根や枝が腐ってできたパイプ状の鉄の塊です。

愛知県豊橋市南部の高師原で産出されたので「高師小僧」と呼ばれるようになったということです。

まずは産地である日野町別所地区の水田を訪問しました。

元は山林だったところを開墾し、水田にしていった過程で高師小僧が多数出土したということです。

国道307号からのアプローチ

   

石碑

 

これだけでは何もわかりませんので、出土した高師小僧が展示されている日野町南比都佐公民館を訪ねました。

ロビーの郷土資料展示コーナーに、大きな高師小僧が展示されていました。

 

管理の方が高師小僧をケースから出してくれました。

「アシなどの回りに固まってできた」ということから想像していたよりも、大きなものでした。

    

高師小僧は地学系の天然記念物としては撮影しやすいものでしたが、地層(断層以外)などは、草が茂っていたりすればどう撮影すればよいか想像もつきません。

「綿向山麓の接触変質地帯」(日野町)などは、撮影してもわかりづらいかもしれませんが、また挑戦したいと思います。

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