JAPAN GEOGRAPHIC
Monthly Web Magazine Dec. 2017
■ 近所の野外学習施設 瀧山幸伸
自宅の近くに著名な野外学習施設が二つあるが、20年近く通っているのにまだ全貌が理解できていない。
一つは小石川植物園。ちょこっと散歩がてら頻繁に訪問しているので、膨大な写真や動画の数に膨らんでしまった。
ここの良さは、都心にあるにもかかわらず、メンデルのブドウ、ニュートンのリンゴをはじめ、小石川御薬園時代からの歴史を背負った薬草園、大学付属施設ならではの充実した標本植物が揃っていることだ。
だが、自分は四季おりおりの花木の美しさや野鳥・迷鳥などを愛でてきただけで、まだ一度も系統的な植物学を学習できていない。
隣接する旧東京医学校本館は大学の博物館となっており、これまた興味深い学習施設だ。
もう一つは六義園。六義園がなぜ学習施設かというと、造園学のお手本として重要だからだ。
活字になっている造園理論や歴史はわかるが、全国の名勝庭園をほぼ訪問し尽くした今でも、造園技術者が持っている奥義は、まだまだ理解できていない。六義園での陰陽思想の具現化や、ミニチュア化された世界観、風景観など、知れば知るほど知らないことが増える。「こんなところに見立てが隠れていた」と気が付くことも多い。幸いなことに、六義園は年間パスを手に入れたので、これからは四季折々、さらに頻繁に宝探しの学習に出かけることができそうだ。
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