JAPAN GEOGRAPHIC

Monthly Web Magazine Jan. 2018

Back number


■ 今年の三社参り 田中康平

年が明けて見た初日の出も雲の中で、正月らしい行事といえばおせちの他は三社参りくらいだ。

三社参りの風習は西日本に偏っているようで誰かがはやらせた習慣のようだがどうせ正月は暇だし三社くらいお宮を回るのは悪くない。

元旦は訪れた孫・子を連れて近くの御子神社に出かけた。ここは太宰府から糸島に移動中の安徳帝が落馬した故事による神社とされる。

一旦太宰府に安徳帝を移し行宮をおき西国を固めようとした平家の思惑通りには運ばずまた屋島に戻ることになるのだがその際の移動の途中の逸話ということになるのだろう、安徳帝は6歳くらいのはずだ。

伝説かもしれない、しかし何かが源平のその時にあったのだろう。

 

2つ目のお宮は4日に宇美八幡宮を訪れた。ここは神功皇后が後に応神天皇となる御子を産み落とした場所とされる。

本殿の傍らには樹齢2000年というクスの古木がある。当時から歴史を見つめ続けた木ということになる、すごみがある。確かな歴史がこの木にはある。

 

3つ目は6日に訪れた糸島の鎮懐石八幡宮だ。万葉集に山上憶良が8世紀前半にここを訪れた時の文と歌が載せられている。

鎮懐石とは神功皇后が三韓征伐に持参した石でこれで妊娠していた体調を整えて首尾よく三韓征伐を成し遂げたとされる。

長さは1尺2寸6分と山上憶良は記しており明らかに石を見ていたようだ。その時でさえ既に三韓征伐から3百数十年は経っており伝説となっていたと思われる。

御神体となっている石は今は見れないがこのような石かというものが拝殿の前に置いてある。石は伝説かもしれない、しかし最低限山上憶良まで1300年は遡れる歴的事実がここにはある。

 

歴史が流れていく、何かを残していく、伝説を残していく、そんな空気に浸って新しい年を刻むのもいい、何か感じるところがあって新年らしい。今年はどんな年になるのだろうか。■■■■■■■■■■■■■■■■■

   All rights reserved 無断転用禁止 登録ユーザ募集中