Monthly Web Magazine Mar. 2018
■ 旧甲子園ホテル(現 武庫川女子大学 甲子園会館)と甲子園 中山辰夫
兵庫県西宮市にある「旧甲子園ホテル」を見学しました。JR甲子園口駅から歩いて約10分、高級住宅が居並ぶ中にあります。
ライト式アール・デコ建築の代表とされる旧帝国ホテル(竣功:1923)は京都府宇治市の平等院鳳凰堂が下地とされますが、甲子園ホテルの設計を担当したライトの愛弟子・遠藤新もその流れを継承しました。
いずれも建物と水がランドスケープとなっており、甲子園ホテルも「水滴」がモチーフとして随所に使われています。
平等院鳳凰堂・旧帝国ホテル・旧甲子園ホテル (旧帝国ホテルは1985年に明治村に移築復元されました)
東の帝国ホテルと並んで「西の帝国ホテル」と称されたこのホテルはリゾートホテルとして1930(昭和5)年に開業しました。
ホテルとしては14年間の使用でした。戦後この地域は阪神・阪急の積極的な開発で大変貌を遂げましたが、先駆けとなったホテルはランドマーク的な存在で残り、現在は大学施設として使用され見学できます。外観、内部共に殆どが当時のまま残されています。
ホテルはライトの幾何学紋様を豊富に取り入れた壮大な建物で正面側外観を見ただけでも圧倒されます。全面が石とタイルとテラコッタに覆われています。これだけの建物で、キャパは客室70、収容150名と聞き驚きでした。当時、最高級の社交場として使われたようです。
外観以上に目を見張るのが内部の装飾です。日本独自の「打出の小槌」や「市松格子」を天井飾りとし、壁面には金粉を使い独特の輝きだったホール、その他どの室も彫刻、照明などを含め迫力満点のつくりです。
池泉式回遊庭園から見る南側の全景は、正面側玄関の様相とは違ったつくりになっています。褐色で暖かい感じの日華石とタイルで造り出された建物全体に目を奪われ、見飽きることなく見学を終えました。
職業野球球団・大阪タイガースの応援歌「六甲おろし」はこのホテルで1936(昭和11)年3月に発表、お披露目が行われました。
当時の甲子園球場は規模も小さく、周辺はイチゴ畑が連なり、イチゴ作業をしながら歓声を耳にして球場に駆けつけたという話も聞きます。
その後の開発でマンモス化しました。
少し外れますが・・・
甲子園球場といえば、春の選抜高校野球が3月末から開催されます。今年は滋賀県から3校が出場します。
21世紀枠から選抜された膳所高校は59年ぶり4回目の出場です。今年は創立120周年と重なり関係者は大喜び。準備が進みつつあります。
59年前に出場したバッテリーは小・中・高の同期であったことから大いに興奮して応援したことを覚えています。
これまで縁遠い存在の高校野球でしたが思いもよらない機会ですので、バッチリ楽しもうと始まるのを待ち遠しく過ごしております。
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