Monthly Web Magazine Nov. 2020
■ 天気で変わる中尊寺の紅葉の情景 瀧山幸伸
全国各地の紅葉をリスト化しているが、北国の紅葉は美しい。山全体が落葉樹なので錦秋の紅葉が見られる。
一方、寺社境内の紅葉名所はそれほど多くなく、北海道ではあまり記憶にない。青森県では黒石市の中野、岩手県では平泉町の毛越寺、達谷窟、中尊寺、宮城県では松島町の瑞巌寺、円通院、山形県では山形市の山寺(立石寺)、福島県ではいわき市の白水阿弥陀堂、猪苗代町の土津神社、柳津町の虚空蔵堂、会津坂下町の立木観音、会津若松市の八葉寺、延命寺などが挙げられる。
中尊寺には昨年と今年、ほぼ同じ時期の11月上旬に訪問した。昨年はどんよりとした曇り空で、今にも雨が降ってきそうな天気だった。実際、弁天堂裏の池では撮影中に激しい雨に襲われたが、雨の音で大勢の観光客の騒音が消され、感動的な情景を記録することができた。紅葉は曇りのほうがやわらかい光景となる。
今年は、天気予報では終日の雨だったが、現地に行ってみると風が強いながらも快晴だった。日本海側の雨雲の一部が山を越えて降りてくるせいで、上空は不安定で、時々天気雨が降ってくるが、基本的に晴れが続いた。晴れの日の紅葉は逆光で撮影すると美しい。最近の動画カメラはダイナミックレンジが広く、黒つぶれや白飛びが少ないので、逆光撮影にはうってつけだ。今年はコロナの影響で観光客が極端に少なく、騒音の心配はなかった。
いずれも8Kの動画に編集しているが、曇りの情景も晴れの情景も美しく、甲乙つけがたい。やはりその理由は中尊寺境内という文化財の宝庫が主役となっているからだ。全く同じ紅葉木でも背景が境内ではなくテーマパークや都会の光景だったら感動はほぼ皆無だろう。
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