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京都府京都市右京区 嵯峨野各地
Sagano here and there,Ukyoku,Kyoto city,Kyoto


嵯峨祭
Sagamatsuri

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May,2012 大野木康夫 HD video

嵯峨祭は愛宕神社と野宮神社が共催する嵯峨地区一帯のお祭りで、室町時代から続いているそうです。
5月の第3日曜日に神幸祭、第4日曜日に還幸祭が行われ、還幸祭には両社の神輿の先払いとして5基の剣鉾が巡行します。
剣鉾は祇園祭の鉾の原型で京都各地に残っており、「嵯峨祭の剣鉾差し」は京都市登録無形民俗文化財になっています。

祭礼の行列は10時に清涼寺近くの御旅所を出発し、北嵯峨一帯の田園地帯を巡行した後、昼前に大覚寺に到着します。
江戸時代には神仏習合の祭で、大覚寺の神輿も2座出ていたようで、行列は大覚寺に立ち寄り、剣鉾は勅使門をくぐって宸殿(重要文化財)の前に立てられ、神輿も勅使門前で御門跡の祈祷を受けられます。

勅使門前は関係者のみ立ち入れますので、大覚寺御影堂から勅使門を見ると、5基の剣鉾が入ってきました。
それぞれ鉾差しの準備をします。

剣鉾は「龍鉾」(大門町)、「麒麟鉾」(中院町)、「澤瀉鉾」(鳥居本町)、「菊鉾」(四区)、「牡丹鉾」(天龍寺)の順に宸殿前へ進みます。
差し方は嵯峨独特で、鉾を左右に振って鈴を大きく揺らして棹に当てて鳴らします。
また、5基の中でも微妙に違って見えます。
御影堂から宸殿に移動して鉾差しを見ました。

宸殿前に5基の剣鉾が立てられました。

御影堂に戻ると、勅使門前に2座の神輿が到着していました。

大覚寺の御門跡が御祈祷に向かわれます。

横から見た剣鉾

御祈祷が終わり、御門跡一行に続き神職の方、役員の方が入ってこられました。
昼の休憩に入ります。

表に廻って神輿を拝ませてもらいました。

休憩中

剣鉾は神輿の前を行き、道を清めるものなので先に出発します。

龍鉾

麒麟鉾

澤瀉鉾

菊鉾

牡丹鉾

獅子舞

神輿は大覚寺前や渡月橋周辺で担がれ、京都風に「ホイット− ホイット−」の掛け声とともに激しく揺らされて巡行します。
担ぎ棒の前後に付けられた「ナリカン」の音が響きます。
大覚寺前では差し上げられませんが、渡月橋周辺や御旅所での「拝殿回し」では勇壮に差し上げられるそうです。

愛宕神社神輿

野宮神社神輿

丸太町通での剣鉾差し

JR嵯峨嵐山駅北口での剣鉾差し




Nov.2005 瀧山幸伸

嵯峨野を歩く


源氏物語の時代から哀愁とロマンをたたえる嵯峨野。五感に触れる街歩きを楽しもう。
大好きな人を想い、一人で訪ねるもよし、大好きな人と歩くのは、なおよし。
団体行動は情景の雰囲気を壊すので控えよう。


嵯峨鳥居本(重要伝統的建造物群保存地区)
Saga toriimoto


この付近は、東山の鳥部野とともに、平安時代から葬りの地であった。
付近に漂う哀愁は歴史の厚みによるものであろう。
背後の愛宕山には愛宕神社が鎮座し、遠州の秋葉神社と同じく火除けの神を祭り、江戸時代には参詣者で賑わった。
その神社の一の鳥居を基点に発展した門前町なので、鳥居本と呼ばれている。
延長約700mの区間が国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されている。

愛宕神社の一の鳥居からあだし野念仏寺までの区間は、茅葺屋根の茶店を主体とした、素朴な農村風の門前町景観を呈している。
道路が舗装されていなければ、さらに雰囲気が良いだろう。

 

念仏寺から下流の区間は瓦葺が主で、虫籠窓や格子に白壁の、町屋風店舗の街並。
二階屋根、一階下屋の連続が美しい。

 

両方とも周囲の山と調和し、美しい景観を形成している。
特に鳥居付近では、鳥居の朱と茶屋の黒、茅葺屋根の草と周囲の山の緑、そのコントラストが異次元の美しさを醸し出している。
狭い道路を走る車は景観も音も心の平安も台無しにする。歩行者専用にすべきだ。

 

鮎茶屋 「平野屋」と「つたや」 
Ayujaya Hiranoya Tsutaya

いずれも四百年の伝統を誇る老舗。
周囲の深い山が目にしみ、裏を流れる清流の水音が耳に爽やか。
上質な自然環境を背景に、和風の建築と内装、調度品も調和する。
天然鮎を味わい、歳時記を体験すれば和歌の一つも出来上がる。
観光客が多くない時間を選べば、高級レストランに勝る人生の至福を味わうことができるだろう。

「平野屋」
Hiranoya
  

「つたや」 
Tsutaya
 

弁治
Benji 
古代米の食事処。千円台で創れる嵯峨野の思い出。

 

愛宕(おたぎ)念仏寺(重文)
Otagi nenbutsudera

愛宕神社の鳥居の奥に、大正11年、東山区から移築された。
重要文化財の本堂は、鎌倉時代中期の建築。
山門から本堂への坂道景観が美しい。かえでと建築とのコントラストを楽しもう。
境内の千二百に及ぶ羅漢像は、一体ずつの表情に個性が強く出ている。
ユーモア豊かなもの、趣味の楽器を携えているものなど多数あり、見飽きない。
無表情な日本的パーソナリティではないところが珍しい。
鐘楼に鐘が三つ架けられており、それぞれ音色が異なる。これも珍しい。
 
 

 

あだし野念仏寺
Adashino nenbutsudera

八千体を越える石仏や石塔は、周辺に散在していた累々の無縁仏を明治時代に集積したもの。
「あだし(化し)」とは、はかないという意味。
兼好、式子内親王、西行など、文人ゆかりの、哀愁をたたえる地である。

■ 兼好法師 あだし野の露消えゆる時なく鳥部山の烟立ちさらでのみ往果つる習ならば如何に物の哀れもなからん世は定めなきこそいみじけれ
■ 式子内親王 暮るる間も 待つべき世かあだし野の 松葉の露に嵐たつなり
■ 西行法師 誰とても 留るべきかはあだし野の 草の葉毎にすがる白露
■ 二条為道 あだし野や風まつ露をよそにみてきえんものとも身をば思はず

門から鳥居本の街並を見下ろせば、坂ともみじと屋根が美しく調和する。

  

落柿舎
Rakushisha

嵯峨鳥居本の街並が途切れ、さらに南に田園風景の中を歩き、落柿舎へ向かう。

落柿舎は芭蕉の弟子、向井去来の閑居。
ししおどしの音が優美。

 

杉並木が美しい。パートナーの人生をいたわるように二人で歩く姿が絵になる。

  

ストリートファニチャーも絵になる


生垣が美しい。ここから望む嵐山は雨に煙っていた。雨や朝夕の頃が一番美しい。
 

常寂光寺(重文)
Jojakkouji

慶長元年(1596)創立の日蓮宗寺院。小倉山の中腹を覆う静かな地に佇む。

 

多宝塔は元和元年(1620)建立(重要文化財)
正面石段から、萩の花を両脇に従える塔を見上げるのも美しいが、背後の丘から、塔の屋根越しに見下ろす京都の街並と東山の景観はさらに美しい。



滝背後にひそかに隠れる石像、滝壷の脇に佇む石像。
それぞれの微妙な表情が、無言の言葉を投げかけて来る。
心の迷いを救うように感じられる、不思議な空間だ。

 

 

門前の路地景観

門前を脇に入る細い路地の景観。生垣と、奥に見える茅葺屋根とが美しく調和する。

 

大河内山荘
Okochi sansou



昭和中期の映画俳優、大河内伝次郎が30年をかけて作った別荘。
小倉山に続く山腹六千坪を利用した壮大な屋敷は、四季おりおりの花木が美しい。
歩き疲れたら、竹薮を眺めお茶を一服。

 

 

  

竹のトンネル
Bamboo tunnel

大河内山荘から野宮に続く竹藪。
坂の起伏と竹垣、竹薮の曲線が見事に調和している。
竹のモノトーンは複雑系のフラクタルな景観に感じられ、 幽玄な美しさを演出している。

 

野宮(ののみや)
Nonomiya

天皇の代理で伊勢神宮にお仕えする斎王(皇女、女王の中から選ばる)が伊勢へ行かれる前に身を清められたところ。社の奥にある苔庭が美しい。

源氏物語「賢木」では、源氏が斎宮と共に居る六条御息所を訪ねる描写が味わい深い。

遥けき野辺を分け入りたまふより、いとものあはれなり。
秋の花、みな衰へつつ、浅茅が原も枯れ枯れなる虫の音に、松風、すごく吹きあはせて、そのこととも聞き分かれぬほどに、物の音ども絶え絶え聞こえたる、いと艶なり。

六条御息所の情念と、秋の花の衰えに掛けた女の衰え。年上の女に惹かれ、未練が残る源氏の心の揺れ動きが見事に描写されている。
物語の美しい描写を実体験するには、この付近で一晩過ごさなければならないのだろうが、昼間とはうって変わって、夜は寂しい所だ。

 

天龍寺
Tenryuji

嵐山を借景とした古刹。後醍醐天皇の霊を慰めるために、足利尊氏が高僧夢窓国師を開山として、嵐山を背景とする亀山離宮を禅寺に改めた。

 

特別名勝に指定されている曹源池庭園は夢窓国師の作庭で、嵐山と小倉山の借景を活かした池泉回遊式庭園が美しい。
枯山水の石組みは龍門の滝と呼ばれ、中国の故事に因んでいる。登竜門はこの故事に由来する。
石橋手前の石組は三尊仏(釈迦如来、文殊菩薩、普賢菩薩)を表現している。
東京六本木、ミッドタウンの設計士デビッドチャイルズは、この庭園様式と三尊仏にヒントを得た。
雲龍図越に見る庭園は幻想的。

 

弘源寺
Kougenji

天龍寺の塔頭(たっちゅう)。
枯山水庭園「虎嘯の庭」。
竹内栖鳳とその一門(上村松園・西山翠嶂・徳岡神泉ほか)など文化勲章受章画家の日本画等を公開している。絵柄の違う腰窓越に中庭を見る。優雅なひと時。

 

 

嵐山
Arashiyama

朝早くか夕方、観光客が引いた時間に、渡月橋の景観を愛でながら川沿いを散策すれば、至福の時が体験できる。