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12月21日(水曜日)

真夜中、明るくて目が覚めた。

水銀灯かなと思ったら、月あかりが車の中に差し込んで顔を照らしていた。

月はこんなに明るかったんだ。辺りが青白く輝いている。

昼間の太陽に照らされれば、日焼けして黒くなる。

月明かりに照らされれば、黒い肌も白くなる。

月は誰でも美人にする特効化粧品だ。

平安の古典、特に源氏物語が、なぜあのようにロマンチックで情熱的なのか、この年になってやっとわかった。

月明かりに照らされれば、皆美しく叙情的になる。

さらに夜のホルモンバランスも影響しているのだろう。

ということは、女性からのプロポーズは月明かりの晩に限るということか。

いや、そのような場所は首都圏では無理で、奥日光か、甲信越の電灯が無いところに行かなければ無理。

そんなところに、そんな時間に行くカップルは、既にプロポーズ後だろう。

では、倦怠期の中年カップルがお互いの愛を確かめるには効果的だろう。

秘湯ブームはこういうことか。

5時起床。月が真上に見える。

まだかなり丸い。 枯れたイチョウの枝越しに見る。

この情景、韓国映画の「オアシス」に似てるな。

この映画、僕は大好きだけれど、好き嫌いが激しく分かれる作品だ。

コンビニで中華まんとドリップコーヒーを仕入れて簡単に朝食。あまりおなかがすいていない。

今日は山奥の文化財が多いので路面凍結に気をつけて、出発。

 水上 生善院観音堂

Mizukami Shouzenin

夜明けを待って撮影開始。通称猫寺 狛犬のかわりに猫が鎮座している。

猫をかわいがった女性を偲ぶ観音堂は女性的で色使いが美しい。

 多良木 青蓮寺阿弥陀堂

Taragi Seirenji

軒高が高い方形の堂。鎌倉時代の作風で、質素だが力強い。

 湯前 明導寺阿弥陀堂 

Yunomae Myoudouji(Jousenji)

一般には城泉寺と呼ばれている。

静かな山すそにある茅葺の阿弥陀堂。

九重塔、七重塔が両脇に立つ。

七重塔越しに朝日が雲に透けて輝く。

この世のものとも思えないほど美しい。

天国へのお迎えはこのような光景だろうか。

この情景はビデオでなければ判らないが。

 多良木 太田家住宅 

Taragi Otake

誰も居ない。質素な造りの二つ屋。

周囲の街並は緑と水が豊富で美しい。

 錦 桑原家住宅 

Nishiki Kuwabarake

こちらも質素な二つ屋。なぜ二棟の茅葺を連結して一棟とするのだろうか。

多分煙を使う棟と客の母屋とを分ける目的だろう。

雨が降り出した、寒い。

 相良 十島菅原神社

Sagara toshima sugawara jinja

周囲の堀の中に浮かぶ不思議な神社。拝殿も茅葺で美しい。

素晴らしい環境なのだが、工事機械の騒音で風情はかき消された。

 人吉城址 

Hitoyoshi castle

川を天然の掘割として活用した城。

 人吉 老神神社 

Oikami jinja

藩主の産宮。

 人吉 青井阿蘇神社 

Aoi aso jinja

素晴らしい楼門。拝殿、本殿も風格がある。

司馬遼太郎が街道を行くで紹介している。

訪問する先々で、寅さんか、釣りバカか、街道を行くかに出会う。

「テレビで紹介されました」という看板を見かけるとがっかりするが、この三者は身内のような感じがする。

そして土門拳、原爆取材写真など、尊敬している。

 山江 山田十王神社

Yamae Yamada juuou jinja

古く質素な神社。

雨が激しく降って来た。2時になって取材終わり。

人吉から高速に乗って熊本方面へ。

天草を経由して島原半島に渡ろうと思い、天草五橋を通る。

ところが、おりからの強風でフェリーが欠航。

 天草松島

Amakusa Matsushima

名勝の千巌山に登る。2つ星。 天草四郎ゆかりの地。

絶景だが、天気は最悪。雪が降ってきた。

やむなく天草松島温泉で一泊。

 天草松島温泉 松風閣

Amakusa matsushima Shouhuukaku

橋のたもとに立つ風光明媚な宿。露天風呂から橋と海峡が見渡せる。

海の幸盛りだくさんで、8千円。

オフシーズンで、しかもめったに無い暴風雨だが、これも旅のハプニング。

天草四郎が呼び止めたのだろう。

冬の季節風と低気圧のダブルパンチを地理学的に実体験で理解できる良い機会だ。

日本昔話に出てくるような冬の情景。

今日の天気図はその典型例だ。

空は雲に覆われ、19夜、寝待ちの月は期待できないだろうな。

明日の朝もフェリーが欠航するかも。最悪高速道路で佐賀を経由して長崎に行くしかないか。

泉質:

あまくさや、、、 で歌を詠んだ。

あまつかぜ まつえだゆする くものまに さようみどりも やどりねつかじ

寒風の天草松島にて詠める

絶え間ない 風の音に悩まされ、寝つかれない。

一年で一番夜が長い時。天草四郎を偲ぶ。アーメン。

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