MONTHLY WEB MAGAZINE June.2011
■九州中国隠れスポット 瀧山幸伸
高速道路の割引も終わりそうだし、ということで、春の連休を利用して九州を回ってきました。
5月の新着情報に掲載した取材地の中で、総合点でおおよそのお勧め度は理解できますが、「団体観光客は行かないだろう」と思われる、「こだわり人間」向けの隠れおすすめ地点をピックアップしてみました。
虹の松原は、日本に残る数少ない天然記念物に指定されている松原です。陸前高田だけは撮影を逃しましたが、他は全て撮影済です。この日は雨模様でしたが朝の雰囲気が伝わってきます。松原越しに見る唐津城も優美で、ぜひ歩いてみてください。
旧唐津銀行は、東京駅や日銀本館を設計した辰野金吾の弟子、田中実が設計した建物です。辰野は唐津出身なので、しがらみがあって武雄温泉館の設計はいやいや引き受けたのでしょうが、唐津銀行は他で忙しく、監修ということにして弟子に任せました。
棚田好きには、蕨野の棚田が重要文化的景観に指定されましたが、大浦のほうがいろは島とセットで美しく感じられます。
離島の寂れた街並を楽しむには、平戸から的山(あづち)大島へ向かい、クジラ漁で賑わった神浦が良いでしょう。すれ違う人皆やさしく言葉をかけてくれます。呼子にもクジラ網元の屋敷はありますが、俗化して騒々しいです。
佐世保市の御橋観音は、信仰の場ですから信仰心の無い方にはおすすめしませんが、もし大自然の治癒力というものをお求めならば、ぜひ。同じ自然の橋でも帝釈峡の雄橋よりも感動しました。
国見の神代は、小さい街並ですが生垣や庭の風情にほっとします。
諫早市小長井のオガタマの木は、過去に切り倒されて家一軒建てられたほどの巨木だったそうですが、ひこばえが巨樹に戻っており、生命力を感じさせます。1円貨幣に登場するオガタマの木だからこその生命力なのでしょうか。
大村の大村家墓所(本経寺)は、キリシタン大名家が仏教に改宗してからの墓所ですが、キリシタン時代の名残があちこちに埋め込まれているように見えるのは私だけでしょうか。
竹田の白水ダムは農業用のため池ですが、堰堤の造形美に感動せずにはいられません。時間を忘れます。
大野市の緒方宮迫磨崖仏、団体は訪問しないでしょうし、訪問してほしくないですね。西と東がありますが、西が良いです。
「日本のマザーテレサ」と言われた日野俊子さんが診療していた由布市の旧日野医院、湯布院に宿泊し贅沢を堪能する方は贖罪の意味も込めて訪問すべきでしょうね。温泉地を楽しむなら、湯布院でも黒川でもなく、長湯でしょう。
九州には美しい石橋がたくさんあります。霊台橋は通潤橋よりも美しいですし、名水百選に指定されている竹田の湧水と石橋を巡る旅も楽しいです。
黒木瞳の出身地、黒木のフジは盛りでした。天然記念物のフジの中では特に優美とはいえ、似たような写真をこんなにたくさん撮影することになろうとは。ビデオでは、ゆらゆゆらりと揺れるフジの下で地元の人々のくつろぐ姿が素敵です。
帰途訪問した岡山県高梁市の備中松山城、城好きにはたまらないでしょうね。これで国宝重要文化財に指定されている城は全て収録されました。
同じく高梁市の吹屋は昔懐かしい「べんがら」を生産していた鉱山町です。映画「八つ墓村」を観た人には懐かしいかも。ここは、ある雑誌向けに詳しく書く予定です。
以上の地点に共感するあなたは、世間から「かなり変人」と思われているでしょうが、実は「かなり通人」です。安心して仲間になりましょう。
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