岩手県金ヶ崎町 城内諏訪小路
Kanegasaki castle Historic district,Kanegasaki Town,Iwate
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緑に囲まれた静かな城下町 何もない素朴な地で癒されたい |
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生垣と屋敷林、古民家が構成する人と自然との調和 |
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眼下に見渡す北上の雄大な流れ |
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旧藩時代を引き継ぐ武家屋敷群のなごり |
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美しい生垣の街並 観光化しない方針がユニーク
Aug.2008 瀧山幸伸
重要伝統的建造物群保存地区
〜水と緑に包まれた小さな城下町は「観光化しない」道を選んだ〜
金ヶ崎町は、岩手県南部地域、平泉の北方に位置する人口13000ほどの小さな町。
だが、県内最大の工業団地を持ち、経済的には恵まれている。
町は「自立への道ガーデンシティー金ケ崎」をまちづくり理念に掲げている。
具体的成果として、例えば、平成11年2月、東北北海道の自治体として初めて、環境管理の国際規格「ISO14001」の認証を取得している。
また、平成11年3月に「田園環境保全宣言の町」として宣言する。
平成13年6月、金ヶ崎城郭跡を含む家臣団屋敷が国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されたことを契機に、地区住民の安全安心の確保、快適な環境と街並の保全をめざし、安易な観光化はしない方針を打ち出している。
日本全国、安易な観光化により住民の生活環境や街並が破壊される例は多い。
この町の方針により、今後百年千年のサステナビリティが担保されるのであれば、それはそれで良いかと思われる。
問題は、経済的バックグラウンドである工業団地が百年千年サステナブルであるかどうかという点だ。
どのような経済社会情勢となっても自立できる自治体などないのだが、フェイルセーフ対策は必要だろう。
元資料:国土地理院
1:本丸
2:二の丸
3:東館
4:観音館
5:大庭
6:旧大沼家(公開) 18世紀中期 広間型3間取り 中級家中士
7:大松沢家
8:鈴森家 19世紀末期 式台を持つ6間取り
9:笹井家 19世紀末期 整形田の字型4間取り 上級家中士
10:佐藤家 明治35年(1902) 整形田の字型4間取り 家老
11:菅原家 19世紀中期 前−常居型喰違い4間取り 中級武士
12:三好家 18世紀中期 広間型3間取り 上級家中士
13:大沼家 19世紀中期 整形田の字型4間取り 医師
14:遠藤家
15:坂本家 18世紀中期、広間型3間取り、家老
16:添田家 19世紀後期 喰違い4間取り 家老
17:金堀沢
18:金ヶ崎神社
19:細目家 仙台藩直属の家臣
20:白糸まちなみ交流館(旧高橋家)
金ケ崎町永栄の胆沢川沿いに位置し、この地の典型である「三ツ屋」形式(主屋、馬屋、厠の直線配置形式)の主屋。
歴史文化の伝承、地区環境との調和、民家の良さの広報、重伝建地区における新築住宅のモデルなど、様々な目的を持っている。
地区の詳細を見てみよう。
現在の町の中心部は北上川に近い。
すぐ南には、9世紀、坂の上田村麻呂による蝦夷征伐の拠点、胆沢城があった。
近世、伊達藩の時代には、北上川以西では領内最北の地で、南部藩と境を接していた。
伊達藩は藩内に二十一の要害を置き、家臣を配置した。
金ケ崎要害は、現在の町の中心部から東側、北上川と胆沢川の合流地点、川沿いの高台に位置する。
その要害の背後に武家地、奥州街道の南北両端に足軽屋敷、中央部に町人地が形成された。
「金ケ崎城内諏訪小路」重要伝統的建造物群保存地区は、約34.8haの範囲で、武家地のほぼ全域にあたる。
地区内の小路はほぼ藩政時代のままである。
旧武家屋敷の民家も藩政時代の名残を残す。主屋は寄棟、茅葺が主。
屋敷外構はサワラヒバの生垣となっており、北西方向にはイグネ(エグネ)と呼ばれるスギの防風林を配している。
この生垣のシーケンスと、背後の屋敷林、家屋とで構成する街並景観が美しい。
そもそも、生垣の街並は、全国どこも美しい。
鹿児島の知覧、出水、入来は、生垣を刈り込んでデザインする独特の造園都市的景観を持つ。
関東では特に外房に美しい生垣の街並が残る。屏風ヶ浦の生垣は特に美しい。
信州塩尻宿から塩尻峠間の生垣は、坂に沿った街並のシーケンスが美しい。
ここ金ヶ崎の景観が美しいのはなぜだろうか。
ヒバの生垣、背後の家屋、屋敷林とのスカイライン連続性にあるのだろう。
すなわち、道路上の歩行者の視点を起点として、生垣の上端、家屋の屋根、屋敷林とが構成する仰角が一律で、それぞれが構成するスカイラインがほぼ一直線に並び、各素材のエッジがとてもやわらかなため、スカイラインが鋭角とならず、緩和効果(ミティゲーション効果)が出るからであろう。
したがって、特に朝夕、雨や雪の街並景観にその効果が歴然と現れる。
このようにモノトーンな街並なので、一点の花や紅葉がとても新鮮に感じられる。
14:遠藤家付近
12:三好家付近
11:菅原家付近
9:笹井家 付近
7:大松沢家付近
6:旧大沼家付近
1:本丸から北上川上流を望む
城は北上川、宿内川沿いに、自然の谷を利用して、二の丸、蔵館、本丸、東館、観音館、大庭を連続して配している。
北上川の侵食のため蔵館は消滅し、大庭を除いた他の郭も一部欠損しており、二の丸で執政していた。
二の丸は北と西を金堀沢、土塁、南を池と大庭で区切っている。
3:東館付近
映画に出てきそうな情景だ。
16:添田家付近
19:細目家付近
屋敷は約1000坪あり、石積み、ドウダンツツジ、サツキツツジ、クロマツの生垣と主庭は、他に例を見ない美しさ。
重要伝統的建造物群保存地区取得の経過
保存地区調査
平成 3年 町並調査
平成 5年 庭園・樹木調査
平成 8年 伝建群保存対策調査
条例・規則
平成11年 9月 町議会定例会にて保存条例議決決定
平成11年10月 金ケ崎町伝統的建造物群保存地区保存条例・規則を公布
平成11年10月 条例公布について県を通じて文化庁に報告
平成12年 9月 保存地区決定
平成12年 9月 保存計画決定
平成13年 6月 文化庁より重要伝統的建築物群保存地区に選定
平成13年 3月 補助金交付規則制定
平成13年 6月 建築基準法緩和条例の制定
平成13年12月 固定資産税の軽減条例の制定
保存地区の決定
平成12年 8月 町都市計画審議会
平成12年 8月 県都市計画審議会
平成12年 9月 保存地区告示
保存計画の決定
平成12年 9月 町教育委員会(保存計画決定)
平成12年 9月 保存計画告示
役場内の体制整備
平成 9年12月 保存対策検討委員会設置
参考資料:文化庁、金ヶ崎町
調査: 2004年10月
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