MONTHLY WEB MAGAZINE Apr. 2013
■■■■■ 185年ぶり「算額」奉納 園城寺(三井寺) 中山辰夫
3月24日、さくらには少し早い三井寺に出かけました。
お目当ての一つは、同志社中学(京都)の生徒約900人が作成し奉納した額や絵馬の「算額」302枚を見ることでした。
「算額」は、3月15日に奉納式が行われ、金堂内に掲げられ参拝者に「問い」を投げかけています。中学生が懸命に考えた難問ばかりです。
同志社中学では授業で「和算」を教えているとのこと。「文化としての数学を知ってもらい、数学への興味を深めてもらおう」との思いが込められています。
会場には、江戸時代の算題が現代語に訳されて掲示されていました。
算額は江戸時代に学業上達を祈願して行われた風習です。(ウイキペデイアに詳しい説明があります)
三井寺に算額が納入されたのは1828(文政11)年。現在は観音堂の内陣に掲げ保管、管理されています。
今回の奉納はそれ以来で、185年ぶりとのこと。生徒の絵馬は約1年間、同寺で展示され、良問とされた数枚は永代奉納されるようです。
いつもは得てして見過ごしがちな絵馬堂。その歴史経緯や内容について知る機会となり、今後は目を配るべしと教えられました。
参考として、情報に基づき資料をまとめました。
各地に結構な数の算額が残っているようですが、残念ながら剥げ落ちたりで解読不明なものが多いようです。
■日本最古の算額は星宮神社にあります。
佐野市大蔵町
天和3年(1683)仲夏 村山庄兵衛吉重 奉納 180×90cm 現在最古であるが昭和50年の失火により半分黒焦げで判読不能となったようです。
昭和58年、新村健吉氏が復元したもの(栃木の算額 松崎利雄 筑波出版)
■重要文化財指定の算額が八坂神社にあります。
京都市東山区祇園町
絵馬舎
御香宮神社の算題の解答額とされる算額。
元禄4年(1691) 長谷川鄰完 奉納 93×123.5cm
昭和50年に日本数学史学会近畿支部が復元したもの([近畿数学史学会著]大阪教育図書 1992)
■ 御香宮神社の算額
京都市伏見区御香宮門前町174
絵馬殿と算額
桁行4間、梁間2間、切妻造の建物。1755(宝暦5)年建立。
復元算額
八坂大社にある算額の遺題とされるが現物は現存しない。復元額は1955(昭和30)年に日本数学史学近畿支部が製作した。
■ 北野天満宮
京都市上京区馬喰町
絵馬所
完全な形で現存する日本最古の算額
1686(貞亨3年) 今西小右衛門重之 飯田武助正成 奉納 95×190cm
昭和57年 松崎利雄氏発見 山本了三,吉田柳二氏調査
算額の上に別の絵馬が画かれ,その絵具の剥落した部分から算額の一部があらわれている。
参考文献:近畿の算額[近畿数学史学会著]大阪教育図書 1992
目にできる算額
1683(天和3)年 山本信 奉納。1975(昭和50)復元
その他の現代版絵馬
■ 伊佐爾波神社の算額 愛媛県指定有形民俗文化財
松山市桜谷町
算額
伊佐爾波神社には、22面の算額が残っており、享和3年(1803年)を最古に、江戸時代後期から明治年間のものが多い。
一社に多数の算額が集中的に現存しているのは、全国的にも例のないことである。
この神社の算額は、関考和(〜1708年)が考案した関流数学であり、愛媛の和算発達史を知るうえにも貴重な文化財である。
(松山市HP参照)
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