Monthly Web Magazine July.2024
金ブームなので前回は「金」の歴史を学ぶ文化財巡りでしたが、石見銀山が世界遺産になっていることでもあり、銀もまとめてみました。詳細はこちら
今後は銅・鉄・石炭など鉱山関連の文化財をまとめたいと思っています。
■ 分割撮影 大野木康夫
最近、休日は用事が多く、まとまった撮影には行けていないのですが、まがりなりにも京都?に住んでいることもあり、早朝の短時間の撮影に行くことが多くなってきました。
6月下旬から7月にかけて、3回にわたって東福寺の文化財建造物を撮影しました。
1回目(6月22日 5:04~5:38)
早朝に行きましたが、東福寺の境内に入れるのが8時30分以降ということが判明し、外廻りの建造物を撮影して帰りました。
重要文化財
六波羅門、月下門、二王門
京都府指定有形文化財
南大門、勅使門、日下門、臥雲橋、北大門、中大門
2回目(6月29日 8:25~9:58)
日下門の開門時間に合わせて境内に行き、建造物を撮影しました。
国宝
三門、龍吟庵方丈
重要文化財
禅堂、東司、浴室、十三重塔、偃月橋、龍吟庵表門、龍吟庵庫裏
京都府指定有形文化財
五社成就宮、大鐘楼、殿鐘楼、経蔵
3回目(7月3日 8:58~9:40)
龍吟庵方丈の撮り増しのため、家の改修工事が始まる前に撮影に行きました。
今年度はあまり休めないので、いろいろ工夫して撮影に行きたいと思います。
■ 紀北の大和街道 野崎順次
紀北地方を流れる紀ノ川に沿って、東西に延びる大和街道は、奈良時代、都が置かれていた大和から紀伊、淡路、四国を結ぶ官道として整備された南海道の一部にあたり、人びとの往来はもちろん、歴代天皇の行幸、紀州藩主の参勤交代などにも利用されてきた。実際に歩いてみると、直線ではなく左右にぶれながら、緩やかにアップダウンする道筋が多く、まさに古い街道である。JR和歌山線の駅に近いスポットを東から西へ、橋本、高野口、中飯降、笠田、名手、粉河の順番にまとめてみた。
まず橋本だが、ここだけは幹線道路と重なって風情がない。しかしながら、和歌山から見て2番目の本陣、旧橋本本陣池永家住宅がある。参勤交代の二日目の宿泊所である。また、同じく登録有形文化財の火伏医院とみそや別館が街道に面している。
橋本川を渡ると、街道らしくなり、東家の追分石がある。追分とは、道が左右に分かれるところをいう。大和(伊勢)街道と高野街道が交差する四つ辻に旅人の便宜を図るためにもうけられた道標石である。
高野口駅のすぐ東の踏切が大和街道で、かつて高野山への本道として賑わい、高野山の杉材を牛馬で運ぶ際に、駅手前の急な坂でババ(糞)をしたために「ババタレ坂」と呼ばれるようになった。
名倉市場蛭子神社で、高野街道は南に直進し、大和街道は西へ直角に曲がる。前田家住宅主屋(登録文)が北面している。
さらに西へ
中飯降(なかいぶり)駅から南へ、国道24号線を横切り、集落を抜けると小田井灌漑用水路沿いに大和街道進が進み、初桜酒造主屋(登録文)が街道に南面する。
笠田(かせだ)駅の西方に大きなクスノキが目を引くが、それを見に行った道が大和街道だった。
牛つなぎ石は、街道を往来する牛馬を休ませるためにつないだところで、石うすを利用していた。
県天然記念物「十五社(じごせ)の樟樹」、近畿地方では第1位の巨大クスノキである。
道の駅「青洲の里」から名手駅に帰る途中、県道127号線からわずか500mあまりであるが大和街道を歩いた。
旧名手宿本陣妹背家住宅(重文)
街道沿いの古い建物は、文化財指定がなく維持管理が不充分ながら、変化に富んでとても興味深い。辻慶進堂主屋(昭和27年)、藤田家主屋(明治前期)、旧名手郵便局(昭和3年)、金岡家住宅主屋(江戸末期―明治前期)、堀光文堂主屋(主屋は昭和
7 年頃)と続く。
粉河駅の南側に大和街道と藤崎井用水路が東西に通っていて、一部は並行している。藤崎井は小田井用水と同じく、江戸中期に大畑才蔵が完成した灌漑用水路に由来する。
日光東照宮
日光東照宮は、徳川家光が祖父家康を神格化すべく、簡素であった東照宮の全面的な建て替えを1634年に計画。
莫大な予算と延数百万人の人員を費やして、僅か一年五か月という短期間の工期で大造営を完成しました。
日光東照宮の建築設計・施工責任者は大棟梁・甲良宗広、絵画部門は狩野探幽が担当しました。
社殿彫刻は約5000体にも及ぶとされ、メインの陽明門には約500体以上の彫刻群が集中しています。
撮影した彫刻を、数回に分けて並べます。
■ 梅雨の季節はホタル見が 田中康平
今年の梅雨はいささか変則的で福岡では平年より2週間くらい遅い梅雨入りとなった。太平洋の高気圧が例年より弱いというのが遅れた説明のようだ。赤道付近の熱で上昇した大気が降りてきてできるのが太平洋高気圧だから赤道付近がいつもより暑くないということになる。赤道付近は実は温暖化してないのだろうか、色々考えてしまう。
梅雨の初めのころはホタル見物に丁度いい、雨上がりで風の弱いムッと暑い感じのある夜がホタルは出やすいと聞かされていたし事実そのようだと思っている。梅雨入りのころが見ごろということになるが、天気の読みがちょっと難しい。特に今年のように梅雨入りがかなり遅れるとホタル見物もそのまま遅らすべきなのかどうか迷ってしまう。
そこらは素直にそうだと信じて梅雨入り宣言の2日後雨が上がった夜、福岡市周辺でホタルが見やすい那珂川の中ノ島公園に出向いた。福岡に転居してからは自分にはホタルというとここが定番になっている。宇都宮にいたときにもあちこちホタル見物に行ったがそのどこよりも見やすくて数も多い。ホタル見物はどうしても車で出かけることになり車のヘッドライトが光害になってしまいがちだがここは観察場所から十分離れた、かといって歩くには問題のない所に有料駐車場が用意されている、アクセスも問題ない。
以前来た時は20時頃から30分くらいがよく見えて帰宅も遅くもならなかった記憶からそのころに合わせて出かける。例年よりだいぶ時期が遅いせいか駐車場は空いている。川辺のいつも見る場所に来ると、結構な数飛んでいる。のんびりとただただ見る。カメラも一応用意してきたがめったに使わないシャッター開放の設定が暗がりでうまくいかず止むなくISOを上げて普通に撮った。写真としてはぱっとしないが、こちらの方が見たままの雰囲気でそれはそれでいいかもとも思っている。ホタルを見るとああ季節が進んだと思ってしまう、それがいい。
久方ぶりに紫陽花の咲く権現堂公園に行ってきました。
雨模様の朝、紫陽花がひときわ美しい時だったと思います。早朝にもかかわらずけっこうな数の人が紫陽花を楽しんでおられました。
紫陽花は色によって花言葉が変わることをご存じでしたか。しかも紫陽花自体長い花期に色を変えます。
花言葉は-受け売りですが
〇紫・青の紫陽花:冷淡・無情・浮気・知的・神秘的・辛抱強い愛
〇ピンクの紫陽花:元気な女性・強い愛情
〇白い紫陽花:寛容・一途な愛情
だそうです。なんか同じ花なのに花言葉に矛盾があるようです。不思議な花です。
しかも私たちが美しいと感じ、花びらだと思っているものが実は「がく」で花はがくをかきわけてないと見えないとは
益々、紫陽花とは不思議な花です。
なぜ雨でも紫陽花は美しく見えるのでしょう。なぜ雨が似合う花なのでしょう。
梅雨の時期に満開を迎えることがその理由の一つであることは間違いないでしようが、それだけでしょうか。
紫陽花の花(花でなく「がく」ですか)が色とりどりでお日様の力を借りずとも美しく映える、曇り空でも際立つ美しさがあるからでしょうか。
そんな不思議な花を楽しんで来ました。
■「青屋」 柚原君子
いつも行っていた駅前の八百屋さんは品物もよくて値段も安くてよかったのだけれど、会計をしてくれるおじさんが私は苦手であった。そのおじさんは籠に入れた野菜を暗算しながら、袋に詰めていき「1650円」といつもぶっきらぼうに言った。詰められたものを受け取ろうとすると、手を出しているのに、すぐ脇の籠にわざとのようにいれる。へんくつなおじさんは世間にいっぱいいるから、こんな程度ならおたおたしないが、本当にいやだなと思ったのは計算を時々間違えることだった。ざっと計算して大体の金額よりもえらくかけ離れていたある日、ちょっと指摘した。おじさんは間違いを謝るわけでなく、「そうだね」と言ってかすかに笑った。感じが悪かった。後日の買い物で「今日は領収書をください」と言ったら、「主婦になんで領収書がいるのか」と乱暴な数字で領収書を書き、もらおうと手を出している私の手をよけて台の上に置いた。このおじさんを大嫌いになった。このおじさんに<本日は、お向かいのおばあちゃんの頼まれ物なので領収書が必要なのです>と言おうとしたが空しくなってやめた。
スーパーの陳列棚で冷風を噴霧され続けている野菜たちよりも、日の光に照らされながら青は青に、赤は赤にはっきりと色をつけている八百屋の野菜たちが私は好きである。だから、次の八百屋さんを探す事になった。
★
近所にある大型マンションに来る八百屋さんと魚屋さんが面白いらしいとのうわさで行ってみた。
14時過ぎにやってくる八百屋のトラックを近所のおばあさんやおじいさんが待っている。車がやってくると、そのおばあさんやおじいさんたちは、にわかにボランティアと化してトラックの荷台に群がる。腰の曲がっているおじいさんも張り切って野菜のダンボール箱を降ろしている。降ろした後に品並べも手伝う。早くも買いに来たお客さんたちに値段を口伝えで教えている。にわかボランティアのおばあさんおじいさんたちの生き生き感が伝わってくる。
計算は白い紙に品物の一つ一つの値段をマジックで書き、縦算で合計してくれる。単なる数字の紙切れだが、見やすく解かりやすく、もちろん笑顔と三言四言の雑談付きで、にぎやかしい。
計算の手伝いだけにやってくるおばあさんもいる。このおばあさんは八百屋の品物が出揃った頃にやってくる。行かねばならぬという小走りで、嬉しそうにやってくる。
そうこうしているうちに、魚屋がトラックでやってくる。人の波が少し移動する。刺身の盛り合わせ方が好みでない、烏賊に蛸はいらない。タイがいいからとなりのタイと盛り合わせてある鰯をどけて烏賊に組みかえるか、と勝手に客たちが盛り上がる。
八百屋も魚屋も売り切れ御免である。
★
ある日のこと遅い時間に行った。魚屋のウインドウにはうなぎの蒲焼とニシンの菜の花漬けだけが残っていた。ニシンの菜の花漬けを買った。
魚屋のおじさんは裏扉の冷蔵室を開けて魚の半身をもってきた。
「お姉さん、お姉さん、このスズキの刺身いらない?」と言う。おばさんの私に気を使ってお姉さんと言ってくれたのでココロが動いた。……でも今日は家族が食卓に揃わなくて半身の刺身は無理。それにスズキの刺身は少し苦手。それで、私は「スズキ嫌いだし……」と小さな声で言った。そしたら、おじさんが怒り出した。「あったまきたなぁ~!スズキを嫌いだってか。絶対に旨いから食べてみろ!これやるよ!もう最後のだからやる。だから食べろ」
「えっ、いらない。嫌いだもん」
「やるったら、絶対やる!」
スズキをビニールの袋に入れて目の前に突き出した魚屋のおじさん。
「いくらぁ」仕方なく私は言った。
「いらねぇよ」。魚屋のおじさんの目が笑っているから安心して貰った。
「刺身が嫌いなら、ムニエルにしな。塩コショウして、粉振って焼く。うまいから。スズキはうまいから」と魚屋は力説する。
私もわがまま言ってみたくなって、そこに残っていたうなぎを指さして「おじさん、私、うなぎも嫌い」と言ったら、
「うなぎはやらネェ!」と即座に言われた。
★
青物横丁、青物市場などの名称が今でも残っているように八百屋さんは、昔は「青屋」と呼ばれていたそうである。青は野菜類の青さからきている。
<アオヤ>が<ヤオヤ>に変化をして「八百屋」という漢字が当てはめられた、と物の本にはある。青はあくまで売り手側であって、買い手側のお客を青くさせてはいけない。
おばあさんやおじいさんのボランティアがいる楽しいトラック八百屋。みんなで肩触れ合うようにウインドウを覗きこんで、てんでにわいわいがやがや言えるトラック魚屋。良い二つのお店にめぐり合うことができて私は誠にうれしい。半年以上たつが、嫌な思いは一度もしたことが無い。
■龍の彫刻 酒井英樹
諸般の事情があって・・半年ほど休載させていただいておりました・・。ご迷惑をおかけして??大変申し訳ございません。
前回が平成5年12月・・というわけで今年最初のWEB-MAGAZINEの題材は?・・毎年年始め恒例?の干支の話。令和6年は「甲辰(きのえたつ)」
わたしが生まれた年の干支・・ひときわ愛着がある十二支の龍
彫刻の題材としては数多くある。蟇股や木鼻・・手挟・・その他諸々・・の箇所に見受けられる。
そこで、今回から何回かに分けて全国の重要文化財建造物内にある龍の彫刻を可能な限り建造物の棟ごとに列挙しました。
岩木山神社【青森県弘前市】
本殿
奥門
月山神社出羽神社湯殿山神社摂社月山出羽湯殿山三神社社殿【山形県西川町】
旧正宗寺三匝堂【福島県会津若松市】
東照宮【栃木県日光市】
本殿、石の間及び拝殿
陽明門
五重塔
正面唐門
輪蔵
輪王寺【栃木県日光市】
三重塔
常行堂
輪王寺大猷院霊廟【栃木県日光市】
二天門
唐門
英勝寺【神奈川県鎌倉市】
仏殿
龍百態と称して約100もの龍を載せていますが、中には蜃もいてます。
例によって答は次回にて・・、でも次の投稿がいつになるやら・・
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