世界遺産　長崎の教会群とキリスト教関連遺産</a>　聖地巡礼　

信仰での巡礼以外の目的で教会を訪問される方へのお願い

Dec.2009 瀧山幸伸

■　学習用ダイジェストビデオ

■　信者の方へ　

私ども夫婦が信者として巡礼した記録です。皆様方の巡礼の手引きになれば幸いです。日本の殉教地、悲劇の地では、京都、江戸以外に、山形県の米沢北山原、岩手県の藤沢大籠、島根県の津和野乙女峠、石川県の金沢卯辰山、大分県の日出、長崎県の大村郡崩れ等もぜひ訪問してください。参照：日本のキリスト教施設と遺産

■　神父様、管理者様へ

できる限り公共団体のご担当者に相談したりカトリック長崎大司教区及び公共ホームページを参照しながら記録を残していますが、正式に撮影許可をいただいた施設と、現地で口頭で許可をいただいた施設とが混在しています。不適切な写真や文章などがございましたら、お手数ですが事務局までご一報ください。最善の対策を尽くします。(Japan Geographicのミッションについて )

■　信仰での巡礼以外の目的で教会を訪問される方へのお願い

殉教した人々の心、苦境に耐え教会を造り守ってきた人々の心を理解しないで訪問することはいかがなものでしょうか。

対象地のほとんどは世界的にも極めて特異な殉教の歴史を持った場です。

信者の方々によって維持されている神聖な場ですし、教会は信者の家であり、常時信者の方々が静かに祈りをささげています。

迷惑を考え、違う目的での訪問は控えましょう。

違う目的とは、このような場合です。

・単なる観光　

祈りの場所であり、観光目的の場ではありませんので、訪問を差し控えましょう。特に団体観光旅行での訪問は厳に慎みましょう。バスやカラフルな服装は聖地の風景に似つかわしくありませんし、車の騒音、団体行動者の騒音も祈りの場の清浄な空気を混濁させ、景観と騒音による聖地の環境破壊です。信者の方々はいうに及ばず近隣住民の迷惑になります。場違いに派手あるいはラフな服装、おしゃべり、脱帽しない、フラッシュを焚く、ペット連れ、エンジンをつけっぱなしなど、マナー以前です。逆に、聖地に関連する資料館や学習施設（長崎出津、五島堂崎、大浦天主堂、サントドミンゴ教会跡、日本二十六聖人殉教地、生月島の館など）はぜひ訪問して理解を深めてください。

・修学旅行

対象地は京都や奈良の観光寺とは異なります。現に長崎の大浦天主堂の前を騒がしく走り回っている生徒と先生が見受けられます。企画引率する先生が、下記「どうしても訪問したい場合」の事前学習を行い、各生徒にも同様に事前学習させてから訪問すれば良いのでしょうが、生徒の理解度からして現実的にはほとんど無理でしょう。生徒が精神的に成長し、自ら訪問したくなるような時期まで待ってください。

・写真愛好者、建築愛好者など

対象は聖地です。信仰や学習目的以外で訪問する場ではありません。撮影や建物見物目的などの安易な訪問を慎みましょう。

・マスコミ出版その他業務目的

営利非営利を問わず信仰目的とは異なる取材や調査がほとんどであることは嘆かわしいことです。もしあなたが殉教者あるいは家族の立場だったら、その業務目的の訪問を許しますか？

旅番組はもちろん、聖地巡礼や心の癒しを装った企画など、人々が最も大切にしている場所と心に土足で踏み入ること、その手引きをすることの罪を恥じ、プロフェッショナルに求められる高いモラルを認識してください。

たとえ学術研究目的と言えど、ほんとうに公益となるのか、後世に必要不可欠なのか、胸に手を当てて問い直してみてください。

■　どうしても訪問したい場合

信者と同等の事前学習を行いましょう。

悲劇の歴史を含め、キリスト教の教えに従い、建築からステンドグラスや彫刻にいたるまで全てに意味や物語があります。

事前学習は、たとえばこのようなことです。

・聖書（旧約・新約）を読む。

・カトリック教会で学習の機会を持つ(カトリック中央協議会のホームページを参照し、近くの教会の神父様に相談する）

・キリスト教に関する世界史・日本史とキリスト教哲学、宗教学について、大学教科書や参考資料以上の学習を行う

・長崎などのキリスト教関連の学習（明治5年宗教解禁までの殉教と隠れ信仰、明治新政府の迫害と私刑、それ以後のコミュニティと教会建築の歴史、原爆の被害、戦後から現在に至るコミュニティの危機について）

・殉教関連の文学など参考資料を読む。

■献金について

施設の維持は文化財的にも社会的にも危機的状況です。訪問にあたっては、各所で献金を行うか、訪問後にカトリック長崎大司教区あるいは近くのカトリック教会へ献金をお願いします。

もしふるさと納税が可能ならば、積極的に応援してください。