Monthly Web Magazine May. 2015
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トピックス
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■■■■■ 一味違う九州の楽しみ方 瀧山幸伸
今回のゴールデンウィークは、混雑を避けるため始まる前の一週間を加えて、富山経由で九州を一周しました。
その旅行記録は、日時順に4月の投稿に並べてあります。
富山に立ち寄った目的は、「ホタルイカの身投げ」を見ること。新月の深夜、満潮で、穏やかな南風の時しか見られないとのことで、期待していたのですが、ホタルイカよりも人の数のほうが多い感じでした。
撮影目的の人はおらず、家族で、あるいは友人同士でサーチライトと網を持ってホタルイカを探しながら浅瀬を歩きまわる姿は面白い光景です。
今回の九州旅行の主な目的は、主に史跡名勝天然記念物と、棚田、名水の調査です。最初はとっつきづらいですが、知れば知るほど楽しくなります。
日本の社会を知るためには、棚田百選に選定されるような山奥の耕作放棄地や限界集落の調査は重要で、九州内の棚田百選(全国134か所中47か所)は全て廻ることができました。
棚田は文化景観で、産業遺産に含まれます。写真が目的ではなく、現地の人にお話を聞いたり、地理や歴史を調べるのが目的なので、この時期は好都合です。
最も美しくないといわれる耕作前の棚田は、レンゲの花に彩られて美しく、観光客も写真家も皆無でした。
長崎県松浦市福島 土屋の棚田
大分県湯布市 男池湧水群
近代化産業遺産といえば、九州山口の世界遺産ばかりが注目されていますが、訪問すべきところがたくさんあることを実感しました。
福岡県北九州市 観光で有名な門司三井倶楽部 アインシュタインが泊まった部屋
鹿児島県伊佐市 夏季だけ水面から顔を出すまぼろしの産業遺産、曽木発電所
伝統工芸が好きな方には、博多織はおすすめです。私はネクタイを、家内はスカーフを買いました。
福岡県福岡市 博多織
天然記念物や自然では、ツクシアケボノツツジ、ノカイドウ、シャクナゲ、リュウキュウコウガイ、九州では貴重なブナなどに触れることができました。
宮崎県高千穂町 諸塚山のツクシアケボノツツジ
鹿児島県鹿児島市 喜入リュウキュウコウガイ産地
観光の旅に比べ、学びの旅は奥が深く、ますます訪問候補が増えて行きます。
2015年の観桜は北海道の一部を残して終わりを告げました。
今年は福島と長野にさくらを求めて出かけ、共に晴天に恵まれ、青い空とさくらのコントラストが美しい写真撮影ができました。
それらの画像をすこし派手目に現像して紹介します。
最初の観桜行は4/18〜19、週末で駐車場の混雑もひどい中、最初に訪れたのが、郡山市の「不動桜」。
ここをたずねるのは今回で三回目、このさくらの幹の存在感にはいつも圧倒されます。推定樹齢350年の巨桜です。
さらに郡山市の一本桜を続けて巡ります。個人所有であろう忠七桜です。
右の二枚の画像は細いあぜ道の先の桜と対面する斜面に設けられた観桜台から撮影したものです。
この観桜台も個人のご厚意の賜物と感じられるものでした。樹齢約160年、忠七さんが植えた桜でしょうから
信用できる数値でしょう。次は伊勢桜、この桜に出会うのも三度目です。
ここまでの三本の大桜が三本とも斜面に育っていることに気が付かれたでしょうか。この伊勢桜は道路に
張り出すように咲いていました。
郡山市最後の巨桜は紅枝垂れ地蔵桜です。この桜は滝桜が東の横綱なら、西の横綱と言われる桜です。
真ん中の画像を見てもわかるように今年はいささか花が少ないように思えます。地面に近いところが枝だけが
目立ち、花がついていないようです。推定樹齢400年と言われており樹勢の衰えが心配されます。
安達太良山と桜の景色を求めて龍ヶ岳公園(じょうがたけこうえんと読みます)にも足を延ばしました。
ここにたどり着く道がとにかく狭いのです。駐車場も整備されていませんから注意が必要です。
春霞ですか、残雪の安達太良がうっすらと見えています。早朝だともっとはっきりと見ることができそうです。
整備されていない公園ですが、みごとな桜が何本もありノンビリと観桜するには最適の場所です。
郡山市を離れて一旦三春町に入ります。孤高の桜と呼ぶにふさわしい芹ヶ沢桜です。
この桜は今回訪ねた福島の桜の中で最も白い桜でした。桜は咲き始めの方が色が濃いと言われますが
この桜、いくら派手に現像しても色が濃くなりませんでした。推定樹齢350年。
ここから田村市へ、最初に大聖寺のしだれ桜を訪ねました。
青空と赤いお堂の屋根に桜、最高の組み合わせです。幹の側に立つとしだれ桜を実感させてくれます。
おっと、この桜も斜面に生えています。樹齢おおよそ300年、寺の歴史が700年とか、長い期間寺の変遷を見守った桜です。
すぐ近くの仲森の紅しだれ桜にも寄りました。この桜は誰が見ても個人の庭に育っています。
道路から急な斜面を登るとこの桜の下にたどり着けます。もちろん個人宅の庭を横切って歩くわけです。
庭を開放して下さっている個人の方に深く感謝。推定樹齢は250年です。
少しロングドライブをして最近とても人気の合戦場のしだれ桜へ、その通りに駐車場への道は
いささか渋滞、駐車場に車を止めて後を振り返ると車列は凄く長くなっていました。
ここの見どころは駐車場からの遊歩道からみる桜の姿と菜の花越しの桜です。確かに人気が高いのも頷けます。
推定樹齢は150年、実はこの桜、二本なんです。
福島の桜のトリを務めるのは、やはり滝桜です。
今回は夕方に駐車場に入って、ライトアップを待ちました。小雨が降っていましたがライトアップされた滝桜は
さらに神々しく見守られているような気持ちになりました。
福島の苦難はあとどけだけ続くのでしょう。30年、40年でしょうか。その長い回復のための時間も
これらの桜にはほんの一瞬。長い回復の時間が過ぎた時にもこれらの桜は福島で咲き誇っていることでしょう。
長野へは4/22〜23に観桜行。高山村以外での桜は箕輪町の中曽根の権現桜のみです。
なんと樹齢約1,000年、大きく二つに分岐した幹を持ち、幹により花の色が異なるとの事。
訪れたたときはすでに満開で花の色の違いは感じられませんでした。
この後、旧中山道の古い宿場町を廻って松本で一泊し、高山村に入りました。
難儀なのは、桜にたどりつくまで厳しく道が狭いのです。高山村は二度目なのですが、ナビに頼って走行すると
桜の時期だけの一方通行を逆走したりと大騒ぎでした。
でも、桜は全て満開。文句のない観桜となりました。
水中のしだれ桜 樹齢:約250年
赤和観音のしだれ桜 樹齢:約200年
黒部のエドヒガン桜 樹齢:約500年
中塩のしだれ桜 樹齢:約150年 坪井のしだれ桜 樹齢:約600年 横道のしだれ桜 樹齢:約250年
高山村では全部で6本の巨桜を巡りましたが、そのロケーションからか水中のしだれ桜と黒部のエドヒガン桜が
強く印象に残っています。前回ここを訪れたときは開花したばかりでまだ花見を楽しめませんでしたが
2015年は最も良いタイミングでの訪問となりました。
今年の二回の観桜行は、二回とも素晴らしい桜に出会えました。来年はどこの桜を愛でにでかけますか。
■■■■■ 「現在に生きる山伏への信仰」 福岡県小郡市如意輪寺 末永邦夫
如意輪寺は真言宗御室派であり、ご本尊は如意輪観音立像です。
境内、寺内には多くのカエルの像があるため、カエル寺と言った方が有名なお寺です。
今回、友達の誘いで初めて1月17日の初観音大祭火渡り護摩修法を見学したので、その時の様子をまとめてみました。
そこには、昔ながらの山伏さんへ、今でも大衆の信仰が生きているのを目にして感慨深いものがありました。
2007(平成19)年の石見銀山に続いて、1872(明治5)年にフランスの技術を導入して完成した富岡製糸場が、2013(平成25)年世界遺産に登録されました。その後も明治の近代化を物語る「産業遺産」への注目度が高まり、最近では「明治日本の産業革命遺産」なる集合体が世界遺産に登録される見通しが出てきました。最近、明治の躍動が新鮮に感じられます。
滋賀・京都をまたぐ「琵琶湖疏水」は日本人の手によって行われた日本最初の大土木事業で、1890(明治23)年の完成後、125年を経過しております。
勿論現在も琵琶湖から京都へ水を供給し続けています。流域施設内には近代化産業遺産と重複しますが、12カ所の国指定の史跡が指定されています。
琵琶湖疏水の果たした役割の大きさについては今更申し上げるまでもありません。
京都を見事に蘇らせ、今日の繁栄に貢献した琵琶湖疏水も、時代とともにその役割の理解が薄れ、桜の名所として有名なインクライン跡、南禅寺の水路閣・哲学の道などの突出した場への関心にとどまる傾向にある気がします。
しかし、真の姿は水がほとばしって流れる幹線運河にあって、見ればその凄さが分かります。
琵琶湖疏水に関連する催しを2点報告致します。
報告—1
琵琶湖疏水に観光船を渡す体験ツアーの試験運航が行われました。
かつては、「疏水下り」と称して提灯をつけて暗いトンネルをくぐる船旅が観光客を楽しませた時期もあった様ですが、1951(昭和26)年に物資の運搬と共に中止され、60年以上通船が途絶えたままでした。
試行船体験ツアー資料 (JTB HPより引用)
観光船の復活は京都市と滋賀県が企画。3月末から5月6日までの土日と祝日に実施されました。
乗船者の募集定員1152人に対し定員を大幅に上回る約1万9千人が全国から応募されたようです。ラッキーな当選者は8人乗りの小型ボートで約1時間、およそ8kmの距離を、さくらの名所として親しまれている沿線の景色や疎水の歴史に耳を傾け満足したと聞き及んでおります。
その準備は大変だったようで、トンネル内の念入りな点検から始まり、水路のライン引きも含め停水させての作業が長く行われたようです。
運航状況
今後の方向性はまだ出ていません。先ずは琵琶湖疏水への関心度・理解度を上げることが先決のようです。
報告—2
三条通りを介して「インクライン跡」や「蹴上舟溜」と向い合って「蹴上浄水場」が山手に建っています。赤レンガを用いた建屋や囲いが印象的です。
琵琶湖疏水を引き入れて1912(明治45)年に稼働した浄水場で、近代化産業遺産に指定されています。日本最初の急速ろ過式を採用した浄水場です。
敷地内には約4600本のツツジが植えられています。満開を迎える大型連休中(3〜6日)に限って一般公開されます。
大輪のオオムラサキツツジやリュウキュウツツジ、などに混じって、可憐な「レンゲツツジ」が見つかりました。何色もあるようですが黄色でした。
昨年は3万人余りが来場したようで、毎年多くなるようです。施設ツアーやクイズラリー、疏水125年の写真展などのイベントが行われました。
琵琶湖疏水や施設への関心度が高まる願いも公開に込められています。施設内には明治45年建設当時の外観を残す第1高区配水池も残っています。
一見、ヨーロッパの古城を思わせるレンガ建築です。
明治の人達が苦難のもとに建設した遺産である琵琶湖疏水の誕生が、工事関係者たちの不屈の熱意と市民の協力で成立ったことに感謝しつつ、観光化された以外の場にも目を向けて「疏水の恩恵」を見直す時期にある気がします。
■■■■■ 新緑の候 〜最近の撮影から〜 大野木康夫
4月くらいから、文化財建造物に油をかける犯罪が続き、犯人が「カメラを持った中肉中背の中年男性」らしいということです。
私の主な撮影対象が文化財建造物で、ズームレンズと単焦点レンズを目まぐるしく交換して撮影するため、建造物の前で立ち止まっていることが多いことから、犯人に間違われそうに思えて、しばらく撮影に行くのを億劫に感じていました。
しかし、禁断症状(ストレスでイライラする、つい食べ過ぎてしまう)が出てきたので、最近は、文化財建造物ではない撮影対象を中心に撮影に行くことにしております。
4月26日 京都府和束町
和束は宇治茶の半分近くを生産する茶どころです。
盆地の傾斜地はパッチワークのように茶畑が広がっており、茶畑のうち4か所は「宇治茶の郷 和束の茶畑」として京都府景観資産登録地区となっています。
また、4月21日に、「日本茶800年の歴史散歩」として日本遺産に認定されました。
早朝風景
撰原(松尾)の茶畑
石寺の茶畑
作業風景
安積親王陵墓の茶畑
釜塚の茶畑
原山の茶畑
5月2日 平野神社と北野天満宮もみじ苑
家族の用事のついでに立ち寄ったものです。
北野天満宮もみじ苑
5月5日 但馬の巨木めぐり
天然記念物指定の巨木を巡りました。
最後は我慢できずに名草神社に上がりました。
■■■■■ 春は野鳥が 田中康平
春たけなわというより、過ぎ去っていく春を眺めているような気がしている。台風ももう7号まで発生した。
春は野鳥の世界がにぎやかとなる。去っていく冬鳥と南から北上してくる夏鳥が交錯して鳥を見るにも忙しい。
それにしても野鳥を見るのは、ただ見るだけ、というのが一番いい。珍しい鳥かどうか、初めて見る鳥かどうか、そんなことを気にしだしては追い求めることだけに心が行ってしまう。つまらなくなる。
去っていく冬鳥の代表はといえばマガモだ。福岡の自宅近くのため池のマガモは4月の上旬には殆ど北へ飛び去るが、中には諦めたように残ったつがいがいて、この時期あちこちでヒナが生まれる。
北関東にいた時は居残りマガモは日光戦場ヶ原の湯川で見かけるくらいだったが福岡では溜池ごとに一つがいくらいは居る。南のほうが暑さが直ぐ来るせいで諦めがよくなるのだろうか。カルガモのヒナの話はこの辺りではあまり聞かない、マガモが強い地域なのだろう。
ヒナは猫にやられやすい。一番近い溜池に5羽いたヒナが少し見ぬ間に皆とられてしまった。今はその先の溜池の一羽のみとなっている。都会にも都会なりの厳しい野性の世界があるのを思い知らされる。
4月の初めには近くの油山にコマドリがやってきた。姿を見るのは難しいが鳴き声は良く聞こえる。録音して聞き較べると以前行った礼文島で7月に聞いた声と同じようだ。繁殖はもっと北の地方となるので1-2週間でこの地からはいなくなる。礼文島まで行くコマドリもここらを通っているのだろう。遠くまで出かけなくとも日本に渡って来る野鳥が楽しめる福岡の位置がいい。
同じ頃、キビタキやオオルリがやってきて美しい声を聞かせるようになる。これも半月ほどで北の山地へ飛び去る。”焼酎一杯グイー”と聞きなしされるセンダイムシクイも鳴き始める。リュウキュウサンコウチョウも現れコサメビタキも近くの公園にでも現れる。追ってアカショウビンやサンコウチョウの声も聞かれるようになる。過ぎ行くばかりの鳥たちだが日本中に散っていくと思うとなんだかうれしい、がんばれと言いたくなる。
鳥といっても干潟の鳥を見るには少しは出かけねばならない。ここらで最も見ごたえのあるのが有明海の大授搦(だいじゅがらみ)だ。
有明海の大潮の時期は特に大きな干潟が広がり、渡りをするシギ・チドリに格好のエサ場と休み場所を与えてくれる。鳥が浜を埋める。気温が上がってくる5月初めになると羽は冬羽から夏羽に変わっていき浜がカラフルになってくる。オオソリハシシギは赤く染まりハマシギやダイゼンの腹が真っ黒に染まる。その代わり大型のホウロクシギやダイシャクシギは北へ去ってしまう。刻々と姿を変えていくこの時期の浜辺の風景は何度訪れても飽きない。
無理せず気ままに鳥を眺めながら時を過ごす、こんな生き方がこのところ気に入っている。
こんな無為なことがのんびりできるのはいい時代なのかもしれない。
添付は順に 1.マガモのヒナ、2.キビタキ、3/4.大授搦風景
■■■■■ 大阪から長野まで、JR車窓の旅 野崎順次
2015年4月22日、新大阪発08:20 のぞみ216号に乗る。黄桜「おつかれさま」の看板は出張帰りの時に見るとやはりホッとする。以前は着物女性は高島礼子だった。
京都駅に着く直前に東寺五重塔が見える。
滋賀県に入って、霊山三上山を右手に見て、少しすると、左に大円墳が見える。直径55mの墳丘だが、実は帆立貝式古墳らしい。直前に右手に古墳群があり、大岩山古墳群の真ん中を新幹線が横切っている。湖東平野を進む。
伊吹山1,377m、深田久弥の日本百名山の一つに数えられる。9合目までドライブウエーがあり、観光地化した。関が原から濃尾平野に入る。岐阜羽島駅の直前にソーラーアークが目を引く。どでかい箱舟型太陽光発電施設で、全長315m、高さは37m (ビルのほぼ10階分)である。
名古屋に09:10に着いて、在来線ホームできしめんを立ち食いしたりして、時間をつぶし、10:00発の特急ワイドビューしなの7号に乗る。中央西線を走るが、しばらくは景色が良くないので、寝た。中津川を過ぎて目を覚まし、南木曽までぼんやりしていた。
木曽川沿いに進むと、いよいよ山が深くなってきた。桜が未だ満開だ。
野尻駅、大桑駅を通過するあたりから正面に中央アルプスが見える。川沿いは桜がきれい。
国名勝 寝覚の床
木曽川の水流によって花崗岩が侵食された自然地形である。巨大な花崗岩とエメラルドグリーンの流れが絶妙である。
木曽福島から塩尻までは花見である。贄川駅あたりの山腹に滝が見える。
塩尻から松本、そして犀川沿いに安曇野を走る間は、左手に北アルプスが見えるが、上の方は雲がかかっていた。白馬三山あたりは雲が高く、上部の深い残雪がよく分かる。
犀川を離れ山間に入る。また、花見ができる。
姥捨駅あたりから、突然、眼下に善光寺平が広がる。段々畑の彼方に山々を背にして千曲川が大きくうねっている。これは日本三大車窓の一つに数えられる絶景である。
篠ノ井駅に近づいてきた。白いのは杏(あんず)の花、ピンクは桃の花。
篠ノ井から長野までは、仕事の都合上、車で移動したので、車窓の旅はここで終わる。
■■■■■ 看板考 「センヂ」 ゆはらきみこ
所在地:岐阜県高山市
昭和館というところを訪ねたときに下がっていた看板。物の値段が今より10分の一。すごい、と看板に見入りました。氷に掛けるものの大体の意味は解りますが、「センヂ」が不明。調べてみたら愛知県、岐阜県、三重県における方言の一種で現在でも通用しているとのこと。関東で言えば「スイ」のようなものでしょうか。4/8のお釈迦様の日にお寺を訪ねますと甘茶を飲ませていただけますが、あれは甘茶ヅルが煎じられて甘い汁が作られているそうで、氷に掛ける「センヂ」も当初は甘茶ヅルの煎じたものであったそうです。日本は単一民族にほぼ近いのに、縦に長い列島には方言の数々があっておもしろいと思います。極端に言えばまるで外国に来たような気持ちになる時もあります。名古屋に嫁に行った友人が嫁ぎ先の義母に「米をカシテリヤァ」と言われて、隣の家にすんでのところでお米を借りに行きそうになった、という笑い話があります。「カシテ」は「米を磨ぐ」ということです。私も愛知県出身ですが名古屋弁はおもしろいです。ちょっと例を。
ドベ……別に誰かの愛称ではなく「びり」のことです。
ちんちん……そのう、あのう、想像されているものではなく「熱熱」のこと。やかんがチンチン湧いていると使います。
もうやーこ……どこで区切っていよいのかわからない言葉ですが、「共同」というような意味。
やっとかめ……八日ぶり!みたいな感じでしょうか「久しぶり!」のことです。
かんこうしとく……旅行ではなくて「考えておく」ということです。
おみゃあさん……迷宮いり事件を解決するTVドラマのお宮さんではなく「貴方」ということです。
名古屋の義姉に「珈琲にフレッシュさんいれやあす?」と訊かれました。きょとんとしていたら持ってこられたのは市販の生ミルクの小さいカップ。「東京はフレッシュさんって言わないの?名古屋は喫茶店でもフレッシュさん要りますか?って言われるわよ」と。「またぁ、……」と思いながらも、生ミルクの入った小さなカップの小さな文字を読んだら、確かにフレッシュと書いてありました。けれども……東京人になってしまった私はやはり「ミルク」の方がいいな、と思いました。ちなみにカキ氷の日は7月25日です。私のカキ氷は練乳+アズキが定番です。現在は500円からひどい時は700円もします。看板の値段が嘘のようです。
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Japan Geographic Web Magazine
https://JAPAN GEOGRAPHIC/
Editor Yuki Takiyama
yuki at .jp (Replace at to @)
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