MONTHLY WEB MAGAZINE Sep.2010
■■■ 日本の奥深くへ 瀧山幸伸
大人の絵日記にはカメラという飛び道具がある。カメラの良い点は、客観的に記録・比較できること。毎年の定点観測、時系列での記録には好都合だ。
■ 山陰の古代史
夏休みの前半は、山陰の歴史探訪に費やした。智頭の板井原は車が入れなかった集落で、今も当時の街並の片鱗がうかがえる。タイムスリップとはこのような空間だろうか。
三大霊場の一つ、三仏寺投入堂は、毎年犠牲者が出ていることから入山が特に厳しい。子供の時分には気楽に登れたのだが。
もう一つの霊場、大山の大神山神社は昔と変わらない。大山町に古代の集落跡がそのまま残る妻木晩田遺跡ほか、隣の淀江を含め遺跡が多い。この地から弓ヶ浜を見ると、国引き神話が実感できる。
弓ヶ浜の先端、境港は水木しげるロードに訪問客があふれる。鳥取と島根は水木とハーンで妖怪もおちおち昼寝していられない。古い文化は境港の先、美保関、美保神社にある。島根半島の北岸は青い海がまぶしい。
そこから西へ、松江城、佐太神社、平田、鷺浦、日御碕の夕日へと、神々に近づく感動の旅が堪能できる。
海とは反対に中国山地側も魅力たっぷりだ。安来の広瀬は尼子の月山城で趣が深い。宍道湖近くには加茂岩倉遺跡、荒神谷遺跡、玉造遺跡が、さらに奥地へ入ると、スサノオが退治したオロチの世界だ。近代まで続いていた桜井家とたたら遺跡が興味深い。
島根県の西の端、益田には雪舟ゆかりの見事な庭園がある。万福寺と医光寺だ。時間を忘れてゆっくりと過ごしたい。
津和野を訪問したら、ぜひ堀氏庭園に立ち寄ってほしい。石見銀山の兄弟分として栄えた銅山経営者の庭園だ。
■ 夏の終わりの東北
夏休みの後半は、恒例の大曲の花火。今年は百年の節目なので華やかだ。田沢湖はこの猛暑で青く怪しく輝いていた。その田沢湖を見下ろす絶景が得られるのが秋田駒ケ岳。天然記念物の植物群落が有名だが、念願叶って天候に恵まれようやく登頂できた。
玉川温泉も後生掛温泉も昔と変わらず良い雰囲気だ。
岩手の安家洞は不便な所にあるが、知る人ぞ知る、さすがに日本一の鍾乳洞だ。洞内は9度、天然のクーラーが心地良い。
さて、夏の終わりはいつになるのだろうか。
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