Monthly Web Magazine (June 2010)
New contents in May..2010
今月のトピックス
Topics of this month
■■■ 「五月の滋賀は“祭”一色、その内容は多種多様」 中山辰夫
命懸けの「伊庭の坂下し」(既報・県選定無形民俗文化財)や古式にのっとった「すし切りまつり」(既報・国選定無形民俗文化財)も
含めて、5月は国や県の無形民俗文化財に指定された”まつり“が目じろおしでした。
いずれも数百年以上の長い歴史と重厚なならわしを受け継いだものばかりなので、一度は見ておきたいと思っていました。
今年追いかけてみて、祭り見物には大変な時間と体力が必要であることが判りました。それ以上にカメラ技術が要求されました。
特に夜間での撮影には手も足も出ませんでした。
見せ場のスポットが多いため、1回きりの見学では全て見切れません。全てを押さえるには2〜3回の見物がいるようです。
大勢のカメラマンも場所取りに必死のようでした。祭りの流れが判らないと場所も選べません。途中での移動はできません。
気楽な気持ちで参加しましたが、いつの間にか巻き込まれていました。
これら祭りは、地元保存会の皆さんが保存や維持・継続について日頃から尽力され、祭りは何ヶ月も前から準備されるとのことでその裏方の努力に頭が下がりました。
どの保存会も難しい課題を一杯抱えておられるようで、気楽な見物だけでいいのかとチョッピリ考えました。
と同時に、規模の大小は別にして、こうした祭りの文化が残る滋賀県をもっともっと知って欲しくなりました。
今年、見学したものは以下の通りです。
1:日野曳山祭:「馬見岡綿向神社・既報」・県選定無形文化財 5月3日
16基の曳山と御輿の豪華絢爛さがみもの。日野商人が贅をつくして仕立てた曳山の造りも素晴らしい。
2:篠田のはなび:「篠田神社・既報」・国選定無形文化財 5月4日
仕掛け・打上げ花火も立派、それよりも見事だった日本古来の”和火“。 シャッター使用禁止でピンボケばかりでした。
最後の“和火”の写真は(篠田はなび保存会)より提供を受けました。
3:兵主祭「兵主神社・既報」5月5日
40基におよぶ御輿、太鼓の神輿渡り。
若者の熱気が300mの馬場に充満する。境内は溢れんばかりのひと、人でした。
古式の競馬としてめずらしい神事でした。
境内の木々のトンネルの中を馬が約400m疾走します。赤と黒の古来の衣装を身につけた騎手が古式に沿って競争しました。
5:八日市大凧まつり・国選択無形民俗文化財:5月30日
300年以上前の江戸時代から始まったようです。揚げる凧が段々大きくなって、今では100畳敷もある大凧を揚げます。《700kg》
毎年、天候が気になります。今年は快晴でしたが、もう少し風の力が欲しかった。歓声と悲鳴! 全場が一体化する瞬間があった。
大凧以外に、全国から集まった色とりどりの凧が揚げられ、コンテストも行なわれて多くの見物客で賑わいました。
“まつり”は生きた歴史と思える面も持っています。今後も機会があれば目を通したいと思います。
■■■ 「驚く人形」 野崎順次
今年の2月に紹介した瀬戸大橋架橋記念の広場で、隣接する記念館とともに建設21年後の昨4月に閉館した。
ここは「橋の町」倉敷市児島で、海に近く、塩分の高い土地は米作に適さず、伝統的には綿と塩の町だ。
塩業は続いているが、原料は輸入岩塩だし、独占的な専売公社制度が薄れたので、昔の勢いはない。
綿は、足袋から学生服と全国的に圧倒的なシェアを誇ったが、時代の流れと低価格の輸入製品により衰退の一途をたどり、今は高級ジーンズで巻き返し中である。
橋の広場は解体中で、30体あったマネキン風人形も1体だけ残って、ひたすら驚いている。
平成23年中旬に新たな「仮称 児島市民交流センター」として生まれ変わる予定であるが、この人形1体だけでも過去の遺物として残しておいたらどうだろう。再び驚くこともあろう。
■■■ 「京都丸太町大丸ヴィラ」 酒井道夫
本年で丁度古稀にあたる年回りなったからなのか、この五月、絶えて声のかからなかった田舎の小・中学校から同窓会の誘いが続きました。
小学校は関西・関東各地区在住者の便を擦り合せて京都で、中学校は静岡県磐田市の城山中学からの誘いでした。
実は私は後者を卒業していなくて、三年の三学期には中野一中に転校していたのですが、そんなことはもう関係なく、ここまで生き長らえてきたんだから出てこいという連絡でした。56年ぶりの再会だそうです。
京都、磐田とも、すでにデジカメ暦では弥生時代に属すCasio QV4000を持参し(縄文に属すQV10も所有するものの、これはさすがに引退して久しい)、あわよくば良いショットを得ようとしたのですが、如何せん日帰りのあわただしさに取材どころではありませんでした。
帰りの道すがら、すでに薄暮が迫る京都地下鉄丸太町駅の脇に、表札もない門構えで幽霊屋敷のように木々が鬱蒼と茂り静まりかえった邸宅があります。
現在非公開中の大丸ヴィラ(下村正太郎旧邸、1932)。
メンソレータムの近江兄弟社をやっていた実業家、宣教師でもあるW.ヴォーリスの設計。
この邸宅完成直後にB.タウトをここに招き、歓待して桂離宮に誘ったのは下村正太郎の全面的支援に負うところが大きい分けです。
現存するヴォーリスの設計の作品では大阪大丸の心斎橋店(1922)が一見の価値ありです。
その過剰な装飾性に辟易する向きもあるかもしれませんが、エレベーターホールのアールデコ風なデザインは、とても90年前の作には見えず、昨日作ったといわれても違和感を感じさせません。
心斎橋の百貨店では、村野藤吾によるそごう本店(1935)が並び立つ景観が圧巻でしたが、こちらはすでにありません。大丸の方も見ておいた方が良いかも……。
■■■ 動画自然詩 末永邦夫
太宰府 宝満山 かまど神社のムササビ
■■■「青森に出かけてきました」 川村由幸
5月22,23日に弘前を中心に金木、ちょっぴり秋田そして奥入瀬を巡ってきました。
この時期の青森県で最も目立つのが真っ白なリンゴの花。
車で移動の道すがら、道路の両側に延々と続く白いリンゴの花はなかなか見応えがありました。
やはり関東と比べると春も随分と遅く、この時期に八重桜が満開でした。
一か月は春が遅いと感じます。
羽田から青森空港に飛び、まず訪れたのが青森ねぶたを展示している「ねぶたの里」、薄暗闇に展示されている本物のねぶたは迫力がありました。
ついでにミニねぶた運行も体験し、跳人の気分など味わってしまいました。
次に津軽三味線を聞きに、津軽三味線の発祥の地である金木へ。
ここは厳冬期に地吹雪ツアーがあるほどで冬は大変厳しい様ですが、この日はさわやかな小春日和。
ついでの太宰の斜陽館にも寄ってきました。
津軽三味線はもう少し激しく迫力のあるものとの先入観がありましたので、いささか期待外れでした。
それから弘前市内に。ここは古い西洋建築物が残されており、柴田さんが喜びそうな町の雰囲気です。
旧第五十九銀行本店・旧東奥義塾外人教師館・旧弘前市立図書館と廻り、最後は弘前城を見学しました。
弘前城はすでに本丸は無く、残されている建造物は少ないのですが、堀が幾重にも巡らせれその規模は往時を偲ぶに十分です。
この後は大宴会を催しさらにカラオケになだれ込み、それでも満足せず宿の部屋で深夜1時まで酒をいただいていました。
翌日はもちろん大変な二日酔い。
飛び出しそうな内臓を抱えて、今回個人的には最も楽しみにしていた大湯環状列石へ。
ここは秋田県で、青森県との県境にあります。
縄文時代の墓(ドルメン)と言われているストーンサークルに神秘を感じてきました。
ストーンサークルは万座環状列石と野中堂環状列石の二つがあり、野中堂には日時計といわれている小型のサークルもあります。
派手さは微塵もありませんが、石が淡々と並ぶ遺跡は一見の価値があります。
大湯環状列石から十和田湖奥入瀬は40km程度の距離ですが、山越えのカーブの続く山道、二日酔いの胃袋の悲鳴とともに奥入瀬へ。
子ノ口に車を置き、タクシーで雲井の滝へ。ここから渓流沿いに歩き子ノ口に戻るコースを取りました。
雪解け水のためか水量も多く、新緑の奥入瀬はそれは美しい景観でした。
三度目の奥入瀬でしたが、ジックリと歩いたのは今回が初めてで改めて奥入瀬の素晴らしさを再認識しました。
この後、八甲田のロープウェーを楽しむ予定でしたが、時間に追われ青森空港に直行。
祭に芸能、歴史的な西洋&日本建築物さらに縄文遺跡と大自然、ありとあらゆるものを楽しんだ旅行でした。
もちろん、東北のお酒充分に堪能したこともご報告しておきます。
自宅近くにある(といっても歩いて行くには遠いのですが)大谷石採掘場周辺の大谷石の景観がちょっといいので紹介します。
今は採掘されていない場所がやや荒れていたのを近頃 市が観光資源にしようと整備して少しは見栄えがよくなっています。
■■■ 郷土玩具 「角館のイタヤ細工」 高橋久美子
秋田県・角館は桜の皮を使った樺細工で有名です。
手文庫や茶筒など、皮を薄く剥いで貼り付ける技術はすごいと思います。
樺細工はキレイですが、高価で、買うにはちょっと考えてしまいます。
角館にはイタヤカエデの細工品もあります。
日常使いの籠や一輪挿しなどがあって、素朴で良い感じです。
イタヤカエデの端切れで作ったという、子どものおもちゃもあります。
イタヤ馬。 キレイに編まれています。 これは前を向いていますが、振り返っているパターンもあるようです。 イタヤ狐。 四つ割りにしてザッと刻んだ感じですね。
■■■ 「マクロレンズでミクロな世界」 柚原君子
ミクロな世界にも、当たり前の真剣な生の営みがあって、夢中でシャッターを押しました。
レンズの中の小さくって巨大なものを見つめていたら、人間も動植物界の一員なんだなぁ、と解りました。
だけど、人間は生きることだけでももうけものなのに、私利私欲に突っ走っていて、実は一番醜いということも、レンズの向こうから見えてきました。
いかんなぁ……。
きちんと生きねばね。
■■■ 「ブナの森」 瀧山幸伸
Beech forest in Japan
ブナの森をリストにしました。
Japan Geographic Web Magazine
編集 瀧山幸伸
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