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「四国漂流の旅」 瀧山幸伸 (Dec. 2012)

■ 四国遍路道を世界遺産に?

2014年には四国遍路道の1200年祭が行なわれるという。

四国の遍路道が世界遺産に認定されたら、清く美しい自然と文化が影響を受けるかもしれない、、、、

との危機感から、2012年の年末の調査旅行は四国に決めた。

2007年12月四国88箇所巡りと文化財巡りと合わせて済ませていたが、その後もちょこちょこと四国を訪問していた。

今回の訪問予定地は、新しく指定された文化財や再訪したい文化財、まだ訪問していない文化財を主に選んだ。

12月は遍路も観光もオフシーズンで、最も静寂ではあるが天候に恵まれないのが難点だ。

四国と言えども山間部はかなり雪が降る。前回は最終の88番大窪寺直前で大雪に見舞われ、必死の思いで結願した。

今回も悪い予感が的中してしまった。四国山中の民家や別子銅山の廃墟などは、雪に阻まれ訪問は果たせなかった。お大師様が「またおいで」とご配慮下さったということだろう。

■ ルートとGPS

今回も駆け足調査で、12月18日から12月26日まで、以下の地図に示したルートを巡った。

一人旅では真冬でも車に寝袋で仮泊するような超ハードな行程だが、今回は一人旅ではなく、家内と一緒。

それでも一般旅行のスケジュールに比べるとかなりハードなスケジュールだ。日程の参考にはならないだろうが訪問地の参考にはなろう。

Bカメラ(家内のカメラ)にはGPSが付いている。ルートを地図に記入する程度の作業にはGPSの力を借りる必要は無いが、個々の写真を閲覧される方にはGPSの情報が役に立つかもしれない。

 

■12月19日(水)

東京を深夜1時過ぎに出発し、高速道路で明石海峡大橋を横断したのは朝の9時頃。サービスエリアからの風景は快晴で爽やかだった。

 兵庫県淡路市 明石海峡大橋

Akashi Kiakyo bridge,awaji city,Hyogo

 
 

今日はどこも快晴かと思われたのだが、淡路島を南下し鳴門に着く頃には横殴りの雨となっていた。満潮が10時半頃なので、名勝の渦潮見物には良い時間なのだが、この悪天候では船に乗る気がすすまない。展望台からの撮影だったが、潮が川のように流れる様も一興だ。

 徳島県鳴門市/兵庫県南あわじ市 渦潮

Naruto Uzushio ,Naruto city,Tokushima /Minamiawaji city,Hyogo

 
 

福永家住宅は塩田で塩を作っていた重文民家。独特な建造物が興味深いが、残念ながら内部の見学には日が合わない。それにしても雨が冷たい。

 徳島県鳴門市 福永家住宅

Fukunagake,Naruto city,Tokushima

 
 

宇志比古神社は前回参拝できていなかった重文建造物。シンプルだが立地が好ましい。

 徳島県鳴門市 宇志比古神社

Ushihikojinja,Naruto city,Tokushima

 
 

大谷焼の窯は神社のすぐ近くにある。登り窯や建築物が登録文化財となっているので寄り道したが、登り窯の場所がなかなか探せない。地元の人に聞いても知らないらしく困ったが、探し当てた窯は風情に溢れ期待を裏切らなかった。村内の醸造家も古風で好ましい。

 徳島県鳴門市 大谷

Otani,Naruto city,Tokushima

 
 

藍の館は二度目の訪問。今回は主屋内部も見学した。物販店にて藍染の小物を数点買い求めたが、やはり全て本物の工程で創られた作品の風合いは違うような気がする。

 徳島県藍住町 藍の館

Ainoyakata,Aizumi town,Tokushima

 
 

今回は88箇所の遍路が主目的ではないが、一番札所の売店は独特な情景なので、寄り道をした。

 徳島県鳴門市 霊山寺 一番札所

Ryouzenji, Naruto city,Tokushima

 
 

旧坂東俘虜収容所は第一次大戦時国内に6か所あった収容所の1つで、『バルトの楽園』という映画にもなった。

旧兵舎(バラケ)は牛小屋などに利用され続けていたが、最近物産販売所に移設再利用された登録文化財である。

 徳島県鳴門市 旧坂東俘虜収容所

Bando camp,Naruto city,Tokushima

 
 

地蔵寺にも登録文化財がある。五百羅漢堂は美しい建物だ。内部も特別に撮影させていただいた。

 徳島県板野町 5番札所

Jizouji,Itano town,Tokushima

 
 

暗くなり、徳島市内のビジネスホテルに宿泊した。

■12月20日(木)

徳島市内で新たに重文に指定された三河家住宅はまだ公開されていないため、今回はパス。

丈六寺はかつては本来静かな禅寺だったのだろうが、道路の往来が騒々しい。それでも禅宗の凛とした文化財建築と境内が美しい。

 徳島県徳島市 丈六寺 

Jorokuji,Tokushima city,Tokushima

 
 

鶴林寺太龍寺の遍路道が「阿波遍路道」として国の史跡になった。両方ともかなりの山道だが、今回は鶴林寺のみ訪問。

 徳島県勝浦町 鶴林寺 20番札所

Kakurinji 20ban fudasho,Katsuura town,Tokushima

 
 

美波の海岸はウミガメの産卵地として国の天然記念物に指定されている美しい浜辺だ。飼われているウミガメは泥が付着してしまうので、週に一度は全身をタワシで洗ってもらうそうだ。

ここから海岸沿いの道路、阿波サンラインを経由して南下する。大変美しい海岸風景と植生だが、訪問客は一人も見かけなかった。

 徳島県美波町 

Minami town,Tokushima

 
 

街並に漁村風景が残る鞆浦は、訪問のたびに情緒と活気が薄れていくようだ。高齢化による空き家が目立つ。

 徳島県海陽町 鞆浦

Tomoura,Kaiyo town,Tokushima

 
 

高知県に入った甲浦は美しい港と街並を維持し続けている。映画やドラマのロケ地としても好適だ。

 高知県東洋町 甲浦 

Kannoura,Toyo town,Koch

 
 

室戸海岸は国の天然記念物と名勝。夫婦岩はさておき、空海ゆかりの御厨人窟前の室戸海岸は地学好きにはたまらない。日本は、ジオパークすなわち地学の天然博物館の先進国だ。皆がこのような地を訪問し地盤や地震津波についてもっと知る必用があろう。

 高知県室戸市 夫婦岩

Meotoiwa,Muroto city,Kochi

 
 
 高知県室戸市 御厨人窟

Mikurodo,Muroto city,Kochi

 
 
 高知県室戸市 室戸岬

Muroto misaki,Muroto city,Kochi

 
 

室戸岬灯台のすぐ上に位置する最御崎寺は88箇所の中でも特に風光に恵まれている。足元を見れば寄生植物のヤッコソウが可愛らしい。

 高知県室戸市 最御崎寺 24番札所

Hatsumisakiji 24ban fudasho,Muroto city,Kochi

 
 

独特な多層水切りを持つ吉良川の街並は重要伝統的建造物群保存地区で、備長炭で栄えた。それも良いが、偶然にもダルマ夕陽を見ることができた。沈み始めてから海面に没するまでの2分間ちょっとの怪しい変化を動画で楽しんでほしい。

日没後、暗い中でも吉良川の街並を撮影することができた。最近のカメラの性能は半端ではない。

 高知県室戸市 吉良川 

Kiragawa,Muroto city,Kochi

 
  

新たに重要伝統的建造物群保存地区に指定された安芸の街並と天然記念物の伊尾木洞は再訪したかったが、暗くなったので割愛した。

高知は高速が無いので室戸からは意外と遠い。市内に着く頃には大変くたびれた。

宿は我々以上にくたびれていたが、寝るだけなので贅沢は言わない。紹介いただいた居酒屋さんの魚のおいしいこと。特にカツオの刺身は舌がとろけるほどおいしかった。四万十川のテナガエビのから揚げもこれまた絶品。

■ 12月21日(金)

朝早く、高知城が開く前に桂浜へ。竜馬の銅像は、アメリカを指差しているものと思い込んでいたが、手は懐に入っていた。

 高知県高知市 雪蹊寺 33番札所

Sekkeiji 33ban fudasho 、Kochi city,Kochi

 
 
 高知県高知市 桂浜

Katsurahama,Kochi city,Kochi

 
 

高知城もこの時期は観光客もほとんど来ないのでゆっくり鑑賞できる。狭い天守閣を占拠し騒々しい団体がいないのが嬉しい。

 高知県高知市 高知城

Kochi castle,Kochi city,Kochi

 
 

午後は高知から須崎経由で宇和島へ抜ける。津野役場近くにある貝の川の棚田にふらりと立ち寄った。曲線が美しい棚田の光景だった。このような文化的景観はもっと評価されて良いと思うのだが。

 高知県津野町 貝の川の棚田

Kainokawa,Tsuno town,,Kochi

 
 

津野町役場で四万十川源流へのルートを教えてもらい、狭い道を登ると石灰岩質の絶壁が見えてくる。車を停めて沢を20分ほど登れば源流付近に出る。

ここだけが四万十川の源流ではないが、源流の標識があるから河口から一番遠いのだろうか。厳密に総当りで計測したとも思えないが、まあそういうことにしておこう。

その水は石灰岩質であるためか清らかでまろく、甘露であった。とても寒く、雪がちらつき、霧が立ち込め、雨がぱらぱら。周囲には巨岩巨木も混じり、キツツキの音がかそかに聞こえる、幻想的な情景だった。

 高知県津野町 四万十川源流

Shimanto riverTsuno town,,Kochi

 
 

雪でダメだろうとは思っていたが、ここまで来たら大引割、小引割は目と鼻の先。だめで元々、深い霧の中を峠付近の四国カルストにぽっかり開いた地殻の割れ目を訪問した。

峠からすぐ近くだが、漂う妖気で神秘的な場所だ。雪がぼたぼた降りしきる。目の前は深さ30mの地峡。霧が立ち込めて底は見えない。

落ちたら助からないだろうな、こんな日によく来るよなあ、と自分にあきれながら気をつけて撮影した。

が、小引割に向かう途中、ほんの少しの雪と落ち葉に滑って転んでしまった。機材をかばったため、自分が雪と落ち葉まみれになってしまった。自然には逆らえない。

峠の近くにも小さな集落がある。四国は低地の谷底よりも、高地の高原のほうが日当たりが良いので耕地が発達している。時空を超えたように佇む集落と棚田の立体的景観は見事である。ここも四万十川の源流の一つだ。

 高知県仁淀川町 大引割、小引割

Ohikiwari Kohikiwari,Niyodogawa town,Kochi

 
 

梼原に近い高野の舞台に到着する頃にはすっかり暗くなっていた。薄明かりの中、長時間露光でようやく舞台の外観が撮影できた。

 高知県津野町 高野の舞台

Takano,Tsuno town,,Kochi

 
 

暗い夜道をひたすら走り、宇和島駅前の年代ものの宿に着く。駅前の料理屋「かどや」で名物の鯛めし、さつま、じゃこ天などの地元料理をいただいた。

■ 12月22日(土)

まだ暗いうちに宇和島海岸に突き出した漁港、遊子(ゆす)へ。

集落の背後には、重要文化的景観に指定されている段畑がギリシア劇場のように尾根まで続く。よくもまあここまで几帳面に石垣を積んだものだ。

 愛媛県宇和島市 宇和島海岸

Uwajima coast,Uwajima city,Ehime

 
 

宇和島城は今回始めて内部を見学することができた。宇和海の眺めが素晴しい。

 愛媛県宇和島市 宇和島城

Uwajima castle,Uwajima city,Ehime

 
 

宇和島闘牛場は闘牛の日にしか開場しない。どのような場所か気になったので立ち寄ったが、多くの野良猫の歓待を受けた。

 愛媛県宇和島市 宇和島闘牛場

Uwajima bull rong,Uwajima city,Ehime

 
 

伊吹八幡神社のイブキは天然記念物だ。茨城県の十王にも天然記念物のイブキ樹林があるが、このような大木になるとは知らなかった。

 愛媛県宇和島市 伊吹八幡神社

Ibuki Hachimanjinja,Uwajima city,Ehime

 
 

日土小学校は新しく重要文化財に指定された「現役」の小学校だ。

現役であり、戦後の建築であり、それほど著名な建築家によるものでもない点をあわせて、きわめて異例な重文であり、非常に興味を持っていた。

現役であるがゆえに一般公開は当然日程が合わない。外観だけでも拝見しようと、八幡浜の市街から狭い道を遡った。

この小学校が重文に指定された理由は外観を一回りするだけで理解できる。本当に子供思いの設計であり、このような校舎で育った地元の人々がうらやましく思えた。

 愛媛県八幡浜市 日土小学校

Hizuchi elementary school,Yawatahama city,Ehime

 
 

大洲城は遠景が美しい城だ。その櫓は天守閣から離れて建っているので前回見落としていた。今回ようやく全ての櫓を見学することができた。

 愛媛県大洲市 大洲城

Ohzu castle,Ohzu city,Ehime

 
 

大洲市街ではずいぶん多くの観光客を見かけた。内子・大洲は松山から近く、周遊コースなのだろう。ここ数年、街並に関心を持つじっくり型の観光客が増えたような気がする。

 愛媛県大洲市 大洲市街 

Ozu downtown,Ozu city,Ehime

 
 

松山では道後温泉の古風な宿に滞在した。贅沢を言わずこじんまりとした宿に滞在するのも落ち着けて良い。設備は古いが料理も風呂も言うこと無し。これで一人8千円強。

■ 12月23日(日)

この日は毎月第四日曜の道後温泉朝市の日。温泉街のはずれに露天が建つが、数は多くない。つきたての餅をほおばり、伝統工芸品の「高知打ち刃もの」包丁を買い求め、坊ちゃん列車やからくり時計を見物したりと、すっかり消費型観光客になってしまった。

とはいえ、重文の道後温泉館は高台からしっかり撮影したが。

 愛媛県松山市 道後温泉

Dogo onsen,Matsuyama city,Ehime

 
 

松山城の麓に建つ萬翠荘、旧城主久松氏の邸宅が重文になった。派手なフランス風洋館が目を引く。

 愛媛県松山市 萬翠荘

Bansuiso,Matsuyama city,Ehime

 
 

太山寺は国宝建築を持つ寺院。国宝の寺院は88箇所霊場の中でも数少ない。

 愛媛県松山市 太山寺 52番札所

Matsuyama Taisanji 52ban fudasho

 
 

大宝寺は霊場ではないが同じく国宝本堂を持つ。

 愛媛県松山市 大宝寺

Daihoji,Matsuyama city,Ehime

 
 

峠を越え、西条市の山中に佇む興隆寺へ。禅寺なので幽玄の雰囲気だ。

 愛媛県西条市 興隆寺

Koryuji Saijo city,Ehime

 
 

今治城は復元されたものだが、美しい城だ。

 愛媛県今治市 今治城

Imabari castle,Imabari city,Ehime

 
 

この日は雪まじりの寒い夜となった。三島のインターチェンジに近いビジネスホテルで殺風景な夜を過ごした。

■12月24日(月)

目覚めれば背後の山は一面の雪化粧。別子銅山の遺産を見学することはあきらめ、重文の豊稔池へ進んだ。

朝早いので零度近くの気温に吐息が白い。この季節、水は流れていないのでダムと思えないほど静かだ。

大分の白水ダムも美しいが、ここでもダムにかける人々の情熱を実感した。

 香川県観音寺市 豊稔池

Honen ike ,Kanonji city,Kagawa

 
 

善通寺の金堂と五重塔が重文に昇格し、多くの堂宇が登録文化財となっているので、拝観と撮影でかなりの時間がかかった。

 香川県善通寺市 善通寺 75番札所

(Zetsuji Temple, Zentsuji, Kagawa)

75ban fudasho

 
 

善通寺は 旧善通寺陸軍11師団の町でもある。乃木将軍ゆかりの地だ。

 香川県善通寺市 旧善通寺陸軍11師団

Former Zentsuuji army,Zentsuji city,Kagawa

 
 

旧善通寺偕行社は将校クラブであり、市役所内にある。最近リニューアルされ、飲食施設が追加されて本来のクラブとして動体保存の道が開かれた。料理もおいしく、市民の憩いの場となっている。

 香川県善通寺市 旧善通寺偕行社

Former Zentsuji Kaikosha,Zentshuji city,Kagawa

 
 

丸亀城はバサラ大名として有名な一色氏の城。石垣が美しい。今回は天守閣内部を見学することができた。

 香川県丸亀市 丸亀城

Marugame castle,Marugame city,Kagawa

 
 

神谷神社は国宝だ。地味だが、古い。

 香川県坂出市 神谷神社

Kandanijinja,Sakaide city,Kagawa

 
 

根香寺に到着した時はほとんど真っ暗だった。この付近からの高松の夜景は美しい。

 香川県高松市 根香寺 82番札所

Negoroji 82ban fudasho,Takamatsu city,Kagawa

 
 

クリスマスイブなので、カトリック高松教会のミサに参列してから瓦町のビジネスホテルに宿泊した。

■12月25日(火)

高松城園内の旧松平家高松別邸披雲閣が重文に指定されたので撮影に立ち寄ったが、内部は予約制の部屋貸しシステムとなっており一般人の見学はできないとのこと。

巨大な建物なので、誰も利用していない部屋は重文の公開原則から言っても一般人に見せても良いのではないかと思うのだが。

管轄している部署は市民サービスに目が向いていて観光やまちおこしには関心がないのだろう。

 香川県高松市 高松城(玉藻公園)

Takamastu castle ,Takamatsu city,Kagawa

 
 

四国村は多くの文化財を保存するテーマパークで、明治村のような存在だ。

今回は二度目の訪問だが、この日は休日だというのに出合った客は撮影の3時間中二人だけだった。

隣接する屋島ケーブルカーが廃止され、観光客が激減しているのだろう。このままでは先行きが不安になる。

 香川県高松市 四国村

Shikokumura,Takamatsu city,Kagawa

 
 

遅い昼を登録文化財の山田家で取った。登録文化財の建物でいただくうどんはおいしく、持ち帰り用にも買い求めた。

 香川県高松市 山田家(旧清酒源氏正宗醸造元)

Yamadaya,Takamatsu city,Kagawa

 
 

八栗寺 は近くなので駆け足で参拝した。背後の岩山を仰ぐ景色と市街を俯瞰する景色が良い。

 

 香川県高松市 八栗寺 85番札所

Yakuriji 85ban fudasho,Takamatsu city,Kagawa

 
 

庵治の石切場を経て、半島を一周した。のどかな海岸風景が良い。

 香川県高松市 庵治

Aji,Takamatsu city,Kagawa

 
 

半島の付け根が 志度寺。ここにも文化財が多い。

 香川県さぬき市 志度寺 86番札所

Shidoji 86ban fudasho,Sanuki city,Kagawa

 
 

前回、重文の細川家に訪問したときは同じような時間だったが一面の雪だった。

 

 香川県さぬき市 細川家 

Hosokawake,Sanuki city,Kagawa

 
 

88箇所霊場の最後、大窪寺も前回は突然の雪に悩まされた。今回は雨なので情景としては雪に劣るが、それなりにしっとりと味わい深い結願の地であった。

 香川県さぬき市 大窪寺 88番札所

Okuboji 88ban fudasho,Sanuki city,Kagawa

 
 

またしても脇町に到着した頃は夜になった。やむなく、夜の街並を動画と写真に収めた。照明は明るいが、開いている店が無く、街並の印象は暗い。

 徳島県美馬市 脇町

Wakimachi Mima city,Tokushima

 
 

高速で神戸にとってかえし、新神戸駅前のホテルに宿泊した。

■ 12月26日(水)

天気がよく、近くの北野 まで歩いた。ほんの数分の距離だ。以前と比べ、若者や団体観光客向けのちょっと場違いな店舗が閉店しているのが目立った。重要伝統的建造物群保存地区なので、場違いな家屋や店舗は無いほうがありがたい。

 兵庫県神戸市中央区 北野 

Kitano,Chuoku,Kobe city,Hyogo

 
 

午後は太山寺へ。夕陽に映える国宝の本堂が燃えるように美しかった。

 兵庫県神戸市西区 太山寺

(Taisanji Temple, Nishiku,Kobe city, Hyogo)

 
 

夕方に東京へ向けて出発し、自宅には深夜1時に到着した。

今回は訪問地は少ないのだが、相変わらずのハードスケジュールだった。

■ 今回使用機材

A camera

Body

Canon EOS 5D markIII

Lens

TS-E17mm F4L, EF24mm F1.4L I, EF40mm F2.8, EF50mm F1.8 II, EF85mm F1.8, EF70-200mm F2.8L II, Extender 2X I

B camera

Body

Canon EOS 6D

Lens

Sigma 12-24mm, EF20mm F2.8, EF24-105mm F4L, EF70-200mm F4L, EF100mm F2.8L Macro

■ 今回使用機材の評価

自分は機材マニアでもないし、特定のメーカーが好きなわけではなく、求める性能に従い機材(メーカー)を選んできたので機材の評価はあまり好きではないが、今回はかなり満足したので記録しておきたい。

5D MarkIIIの性能には満足している。

A cameraは常時三脚を使用するので、写真撮影のみであれば以前のEOS 5D MarkIIで十分だった。

発売後半年様子を見て秋に5D MarkIIIを買い足したが、結果は大正解だった。特に動画性能には満足だ。

5D MarkIIに比べ、寺の屋根のモアレが出ないばかりか、動画の許容ISO上限がISO1280からISO6400に上がり、脇町の夜景や寺や民家の屋内など暗い場所での動画撮影に大活躍だった。

EF70-200mm F2.8L IIも良い仕事をしてくれた。

今まではEF70-200F4LまたはEF200 F2.8Lだったが、今回新たに投入した。

重さと取り回しの悪さを差し引いても絵の出来上がりには満足だった。三脚使用でもISの効用ははっきりと認識できた。

B cameraのEOS6Dの暗所性能には本当に驚いた。

Japan Geographicの撮影対象は暗い寺社や民家、洞窟など、手持ち撮影のB camera泣かせな場所が多い。

登り窯の内部などほぼ真っ暗な所でAFが合うこと、安易なProgramモード+ISOオート上限に設定したISO12800でも納得の画質が得られることで、露出設定から開放され速写性が増すと共に、ブレとボケが激減した。

納得の絵が得られなかった以前のB camera(Kiss X5)に比べると雲泥の差だ。

脇町のB camera(6D+EF24-105 F4L)の手持ち撮影はA camera(5D Mark III+EF24mm F1.4L)の三脚撮影よりもくっきりと撮影できている。

旅行費用と時間を費やしても撮影に失敗し徒労に終わっていたことを考えれば、機材への投資の効果は大きい。と、今だからそう思えるが、購入するまでの逡巡は大きかった。


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