分野別索引と解説
Classified index
青色の水景 Blue Water
Jan.2018 瀧山幸伸
水の青さは美しく、時に秘境では神秘的でもある。「青」と表現しているが、群青色の青、ターコイズブルー、エメラルドグリーン、全て「青い水(Blue Water)」と呼ぶこととする。
青さの理由は諸説あるが、日本の観光地(陸水)で最近注目されている「仁淀ブルー」の場合、その原因は水中の微生物(珪藻類)だという説がある。この説には若干の違和感を持っているので、自分なりに真の原因を推測してみた。
青い水を、立地条件で分類してみると以下のような共通点というか青く見える原因がわかる。もちろん、科学的な検証を経なければ断定できないが、「仁淀ブルー」なるものの原因はいかのような化学的現象だろうと考える。
「仁淀ブルー」の原因
原因1 水中物質・水底物質による光の反射があること
仁淀ブルーの場合、水に含まれるシルトと水底の岩石による光の反射が主な理由だろう。シルトは砂より小さく粘土より大きい粒子だ。シルトが特定の波長の光(青系統のスペクトル)を反射することにより、水の色が青く輝く。実は、似たような青い水は仁淀川周辺だけに見られるものではない。西は愛媛から、高知(仁淀川、吉野川上流)、徳島(那賀川)、和歌山(紀の川・熊野川)、三重(櫛田川)、愛知(阿寺渓谷)、長野(秋葉街道沿い)、埼玉(長瀞)、群馬(三波川)、栃木(思川など)にかけて似たような青い水景が見られる。他地域では見られない独特の青い反射が生まれる原因は、中央構造線添いの周囲に存在する変成岩を主体とする鉱物地層が生み出すものだろう。コスタリカのリオ・セレステはターコイズブルーの青い水で有名だが、科学者が調査した結果、青い水色の原因は、長石、雲母、沸石などのアルミノケイ酸塩鉱物の特定の大きさの粒子が光を反射したために見える錯覚で、水自体は透明だったということが判明したという。粒子は大きすぎても小さすぎても青い色を反射しない。水に色が着いているわけではない。
仁淀ブルーをもたらす地層や鉱物の詳細については、徳島県立博物館で仁淀川周辺の地質に関する詳しい情報が得られるので、興味ある方は訪問して学んでいただきたい。
植物性(珪藻類)の水中物質あるいは水底物質による光の反射という説を全否定するものではないが、仁淀ブルー特有の現象を説明できるほどの確証はない。
原因2 白または淡い色の水底と周囲の岩石があること
海水(ビーチ)の青さは、水底や周囲に白い砂や砂利があることが影響しているのは確かだ。空の青さ、海の青さと同様に、白によって青の透明度と輝きが増す。陸上の場合も同様で、水底が白または淡色の砂や石であることが有利だ。玄武岩などの黒系統の石ばかりでは美しい青さが生まれにくい。
原因3 透明度が高いこと
仁淀川は国土交通省の調査で全国有数の透明度を誇る。上記で説明したとおり、青い光を反射する物質を多く含む水は、リオ・セレステはじめ、カナディアンロッキーの氷河湖メディシンレイクなど、ほとんどがシルトを多く含み、透明度が低い。日本でも同様で、火山性の硫黄分を含む水面も、白神十二湖の隆起地層由来の湖水も透明度が低い。「仁淀ブルー」は透明度が高いので、吸い込まれるような青さが特徴となっている。ただし、仁淀川はじめ中央構造線添いのダム湖水は透明度が下がるので透き通った青色とはならない。それでもやはり美しい青さだが。
北海道 摩周湖 足寄オンネトー 倶多楽湖 洞爺湖 然別湖・東雲湖 オコタンペ湖 支笏湖 鳥沼 豊似湖 知床 積丹神威岬 島武意海岸 霧多布 天売 神恵内窓岩 乙部 セタカムイ 神の子池 美瑛町(青い池と白髭の滝)
青森 十和田湖 十二湖 仏宇多(仏ケ浦) 青森中泊 尻屋崎 八甲田山
秋田 玉川温泉 八幡平後生掛温泉 田沢湖 にかほ獅子ケ鼻湿原 栗山池 男鹿半島
福島 五色沼(裏磐梯) 五色沼(吾妻山) 沼沢湖 塔のへつり 夏井川渓谷 滝川渓谷
埼玉 長瀞
東京 神戸岩
富山 猿飛峡
福井 東尋坊
愛知 阿寺七滝
京都 宇治川 天橋立 経ケ岬 網野 丹後松島・屏風岩 琴引浜
兵庫 但馬御火の浦
奈良 みたらい渓谷
鳥取 浦富海岸
島根 隠岐摩天崖 知夫里島 中村 白島,海苔田ノ鼻 浄土ケ浦 鬼舞展望台、赤尾展望台 美保関北海岸
広島 三段峡
高知 室戸岬 土佐、須崎海岸 大月町 安居渓谷 中津渓谷 にこ淵
長崎 轟渓流
大分 由布川渓谷
沖縄 阿嘉島前浜 阿嘉島ヒズシ浜 阿嘉島ニシハマ 渡名喜島 名護部瀬名 川平湾 西表島バラス島 恩名万座 星砂の浜 由布島 名蔵アンパル・バンナ公園 玉取崎 小浜島
トルコ パムッカレ
All rights reserved 無断転用禁止 登録ユーザ募集中